十五年式小型乗用車カルス

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15th Year Type Light Vehicle Carrus


【概要】
十三年式偵察車ロリカを本体部分を流用した、4人乗りの小型乗用車である。
軽く、ある程度の悪路走破性もあり、更に安いことから、大量に生産され、前線で消費されている。
十一年式四輪自動貨車と共に、最も民主連邦軍で普及している車両であり、将兵に最も近い兵器の一つなのである。


【開発経緯】
十三年式偵察車の存在は、民主連邦陸軍に大変なるインパクトを与えた。
このよくできた兵器は、隣国であり同盟国でもあるアストメリア共和国からライセンス生産したものであったが、速く小回りが利き、生産コストも低いという化け物のように優秀さを誇っていた。
何よりも恐ろしい事はこれが共和国軍では半世紀以上前に使用され、博物館で置かれていた骨董品であったということであったが、それはともかくとしてこの優秀な車両を偵察車程度で留めておくのも勿体ない話である。
既にロリカを一部改造した弾薬車も配備されていたが、その使いやすさに将兵は更に絶賛した。
同車をより汎用的に使える乗用車にしよう!という声は日増しに高まっていったのである。

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〈ロリカ弾薬車。重い弾薬の運搬に苦しめられていた将兵にとってありがたい存在だった。〉

将兵の声を無視する事に定評のある上層部としては珍しく、この要望に乗り気であった。
民主連邦の輸送能力は常にパンク気味であり、特に鉄道輸送後から末端へ物資が届くまでが壊滅的に滞った。
それはさながら血管が塞がり、末端の神経が死んでいくがごとしであった。
既に四輪自動貨車のほか、陸軍には十年式中型乗用車があったが、この車両の走破能力は低い。
乗用車が乗り付けられない低インフラの戦地へは、多くは馬匹、時には人力で輸送しており、さながらその光景は到底近現代の軍隊と言えないものであった。

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〈前線の物資集積所。民主連邦の兵器が刷新されるほど、必要な物資は加速度的に増えた。〉

早速陸軍兵器局は、低調だが堅実な仕事ぶりに定評のある銀星重工に、十三年式偵察車を改造した汎用自動車を製作することを命じた。
銀星重工としても、楽な仕事であった。
主な仕事は弾薬輸送車の後部を改修して、座席を取り付ければよかっただけなのだから。
他にもオープントップにしたり、重機関銃用の銃架を取り付けたりしたが、基礎は殆ど変わっていない。
それほど初期設計が優秀だったのである。

銀星重工設計陣は、3ヶ月という驚異の開発速度で試作車を完成させた。
4人乗りという少ない搭載能力ながら、親譲りの走破性、そして生産性にいたく満足した兵器局は、早速生産を指示した。
こうして本車は劇的な生産速度で、瞬く間に部隊に普及したのである。


【性能】

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乗員は4名。2名なら100km/hというかなりの速度を出すことが出来る。なお二輪駆動である。

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後部には十二年式重機関銃を乗っける銃架を装備。簡易的な偵察や追撃任務にも使用された。

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発動機は前部のクランクを回してかける。他国軍では絶滅した、古式ゆかしき風景である。

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後部には牽引器具が取り付けられている。数字は部隊番号だ。


本車両は他国と比較していろいろと原始的な車両だったが、それが幸いして全体的に堅牢な設計であり、またすぐ壊れてもすぐに修理することができた。
馬力が低く、そもそも発動機自体旧式であったが、そもそも民主連邦国内ではその程度の車両しか民間に普及していなかったため、哀しいことに特に問題はなかったと言える。
むしろ兵士にとって扱いやすい代物と言え、一部の一般歩兵でも直せたぐらいである。

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〈フィールドキッチンを牽引するカルス。まことに将兵に近い存在であった。〉 

4人しか乗れないことは確かにネックであったが、6人乗りの十年式中型乗用車が補完した。
歩兵連隊に一定程度割り当てられ、偵察や連絡、輸送に移動と様々な局面で酷使されたのである。
大量に生産されたカルス小型乗用車は、民主連邦軍の行くところ、戦地に大量に持ち込まれ、大量に酷使され、敗退して大量に放棄された。
またつつがなく兵役を務めた車両は民間に安価に払い下げられた。
その結果として、多くの本車両を民主連邦の街角で観ることができるのである。

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〈歩兵連隊には必ず付属した。歩兵部隊だけではなく、海軍や内務軍でも用いられた。〉




【開発後記】
ポポさんに作っていただいた車体をそのまま流用し製作した民主連邦のジープです。
主な改良点はオープントップにして座席を付けたぐらい。本当に基礎設計が優秀ですね。
とても作りやすいので、たくさん製作しちゃいました。こういう車両は数があると、雰囲気が出ていいものです。






FS-1 汎用戦闘機コルウス

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FS-1 Fighter Bomber Corvus


【概要】
民主連邦海軍が堂々誇る単発単葉固定脚の戦闘爆撃機。
強力な発動機を搭載しており、優れた搭載力と力強い飛行能力を持つ。
これさえあれば空中戦も爆撃も偵察もできると意気込んだが、勿論そんなことはなかった。
単座型と複座型が存在するが、どちらも駄作機であることは変わりはない。
汎用的ではあるが、大体において平均未満の性能なのであった。
しかし確かに汎用的ではあるので、海軍航空隊の主力として現在君臨している。


【開発経緯】
初の国産戦闘機、撃Ⅰ型戦闘機「グラディウス」の成功は、海軍首脳部を発奮させた。
陸軍にはかっこいい全金属製単葉戦闘機があって、海軍にはない。これは耐え難い状況である。
栄えある海軍航空隊にも、全く新しい新鋭戦闘機が欲しかった。
かくて汎用戦闘機構想「NF1/17」が始動したのである。

しかも構想が進み始めた時期に、ちょうどいい形で性能の良い発動機の生産余剰があった。
天ノ川皇国が誇る最新鋭空冷発動機のライセンス版、「アリエルA型」が余っていたのである。
元はと言えばこのエンジンは撃Ⅱ型戦闘機「サウニオン」に搭載されるものであったが、高価で、操作性が難しく、また事故も多いことから、当初の予定と比較して生産数が激減していた。
それと相反して発動機は、海王自動車のほかにも銀星重工や赤星発動機が肩代わりして生産していたため、機体と比べて過剰気味に納入される羽目となっていた。
せっかくの最新鋭発動機が倉庫で埃を被る憂き目に逢っていたのである。

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〈「アリエルA型」空冷発動機。民主連邦が持つ最強の発動機である。〉

どうせならこれを使おうということで、海軍は強権をもって余ってた発動機を買い集め、民主連邦一の巨大軍需企業、銀星重工に最新鋭戦闘機の注文とともに下げ渡した。
その際に「海王自動車側も新鋭戦闘機を製作する用意がある」と連絡してきたが、何を作ってくるかわからず、海軍側はとても怖かったので、景気よく無視したのであった。
その点前線将兵の期待には応えないが、確実に要望を期間内で形にしてくれる銀星重工には抜群の安定感と信頼感があった。

海軍側は優秀な発動機に物を言わせて、多用途に使える全金属製単葉機を夢見た。
戦闘機としては強力な武装を持ち、爆撃機としては抜群の搭載量を誇り、偵察機として敵機を振り切る優速性を持つ。
既に陸軍が全く同じ構想を夢想し、惨敗していたのだが、全くの別組織である海軍は当然そんな事は知らない。
殄Ⅰ型ピルムを設計した銀星重工は熟知していたが、彼等も賢いので当然そんな事は言わない。
かくして駄作へ向かう喜劇の幕は開かれた。

銀星重工側は海軍の意向を受けて、撃Ⅰ型の武装を遥かに上回る20mm機関砲を2門取り付けた。
更に爆弾ラックや増槽を取り付け、更に偵察/爆撃機用に複座型も併せて製作した。
その配慮のきめ細かさにおいて、足りないのは前線部隊に対する配慮だけであった。
いろいろ取り付けたので、機体重量が当初より遥かに上回り、引き込み脚にすると折れるということで、固定脚となった。

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〈量産されるコルウス戦闘爆撃機。銀星重工は民主連邦随一の生産施設を有していた。〉

こうして受注から8ヶ月という順調な速度で試作機が完成、固定脚のせいで速度は当初より遥かに下回ったが、それ以外は要求項目を満たしていたこと、そして調達費用が低く安価であることが決め手となり、正式に量産されることとなる。
正式量産型はカラスを意味する「コルウス」と名付けられたが、カラスより遥かに重く、カラスより頭が悪かった。
本機は撃Ⅰ型戦闘機と並ぶ、民主連邦軍を代表する戦闘機となったのである。


【性能】

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乗員:1名
武装:20mm機関砲×2(複座型+13mm機関砲×1)
    100kg航空爆弾/焼夷弾×4 500kg航空爆弾×1

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「アリエルA型」発動機は大馬力であったが、重量過多であるため、固定脚となった。
太い固定脚は前近代性を演出するが、未整備の野戦飛行場でも着陸することができた。

20mm機関砲を2門も載せている。搭載弾数が80発と少なく、使いづらかった。
ただし大威力を誇り、地上攻撃で敵に脅威を与えることができた。
のちに代わりとして主翼に13mm機関砲を取り付けたタイプも生産された。

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複座型。後部座席に13mm機関砲の回転砲塔を取り付けたので更に重くなった。
開発コンセプトは全方位に攻撃できる戦闘機!だったが、勿論そんなことはなかった。
後部機銃座は民主連邦陸軍でも随一の危険地帯である。
単座型と比較して、わずかし機体全長が増加している他、目立った違いは見えない。

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単座型。やたら頑丈であり、整備しやすいのは本機の優れた点である。
その点については、整備兵に大いに好まれた。
単座型は戦闘機として、複座型は爆撃/偵察機として使用される傾向にある。


【運用】
海軍航空隊の主力として、ベリサリウス中型爆撃機と共にあらゆる民主連邦の軍事行動に従事した。
とりあえず何でも使えるので、戦闘から爆撃に偵察とあらゆる任務に使用された。
しかし爆撃機としてはベリサリウスに搭載量に大きく水を開けられ、戦闘機としては陸軍のグラディウスに速度で大きく劣るという、性能的にいいところはない飛行機であり、素直に駄作といえた。
本機が秀でているのは汎用性と、量産性、そして頑丈な部分であった。

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〈陸軍との共同基地にて駐機するコルウス。重いため離陸するのに時間を要した。〉

戦闘機としては鈍重であり、往々にして対空砲火の犠牲となった。
華南共和国内にて行われた軍事行動で最も喪失数が多かったのは本機である。
その分地上を這う将兵に近い存在であり、地上軍と連携して爆弾や銃弾を雨あられと放り込んだ。
グラディウスが純粋な制空戦闘機なら、本機は軽爆撃機寄りの戦闘機と言えた。

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〈裏側は特徴的な固定脚のほか、爆弾や増槽が装備されている。〉

作れば作るだけ海軍航空隊の戦力にはなるため、多少の低性能には目をつぶって量産された。
コルウスは生産された分だけ、前線に配備され、使い潰された。
本機は民主連邦の後進性と、残酷な合理性を示す一端でもあるのだ。

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〈炎上墜落するコルウス。少なくない数が対空砲火により撃墜された。〉




【開発後記】
ぬぬつきさんからいただいた発動機があまりにいい感じだったので、発動機から立ち上げて作ってみた単葉戦闘機です。
単葉単発で固定脚、一時期流行った型式ですが、レゴ作品ではあんまり見ない気がします。
かなりお気に入りの作品です。我ながら鈍臭く、鉄の塊感が出た雰囲気にとても満足しています。





民主連邦陸軍の編成と特徴

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Organizations And Characteristics Of Democratic Union Of Legoland Army


民主連邦陸軍の基幹にして中心となる存在こそ、歩兵部隊である。
歩兵こそが戦場を支配し、統治する主役だからである。
特に他国と比較して機械化比率が低く、歩兵以外の戦力が乏しかったこの国ではその傾向が顕著であった。
極端に言えば、歩兵こそが軍の主力であり、そのほかの兵器はそれを支援する存在に過ぎなかったのだ。

そのため、陸軍においては部隊の編成に大変こだわった。
均質性・等質性こそ近代軍隊の要である。
戦力を正確に量ることができてからこそ、初めて作戦を立案することができるのだ。
全ての兵器、それこそライフル一挺に至るまで、建前上兵器局は計数し、厳格に管理されていた。
もっとも実際は長年の癒着と慣習で機能していなかったのだが。
では部隊はどういった編成をしていたか、本国軍を代表に観てみることにする。

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〈整列する民主連邦陸軍兵士。銃剣付きライフルは整列する時美しく見えるから気に入られている。〉


もっとも根幹の部隊は中隊である。
中隊は兵士6人、下士官2人、そして指揮する将校1人の計9人で構成される。
近年指揮系統の円滑化を目指し、下士官の比率が大幅に増えたことが特徴である。
また中隊規模まで携帯無線機が配備された。
なお無線機手は下士官であるが、急激な配備に頭数が足りなかったため、急きょいろんな工業高校から卒業生を引っ張り出し、半強制的に無線機手にした経緯を持つ。
そのため近年下士官の身体能力大幅低下が問題となっていたりする。

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〈中隊定員。ちなみに歩兵は全員ライフル手である。〉


中隊が2個集まることにより、大隊が編成される。
大隊になると、軍旗や重機関銃、そして中型トラックが付属する。
残念ながら中型トラック1台では全兵士を同時に載せることなどできず、自動化は程遠いのであった。
軍旗は大切なものなので、無くしたり奪われたりすると凄く怒られる。
なお大隊定員は中隊2つ(18名)に軍旗(1名)重機関銃(2名)で21名。

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〈1個大隊の様子。重機関銃は重いので、よくトラックに載せる。〉

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〈やたら重いことに定評がある十二年式重機関銃。2名で運用される。〉


1個連隊は大隊を2個組み合わせることにより、主に構成される。
連隊になると更に機動十五年式野砲が1門、そして十五年式小型自動車が付属する。
更にさらには連隊司令部として、将官が1名、補佐する将校と下士官がそれぞれ1名ずつついてくる。
連隊は2個大隊(42名)に連隊司令部(3名)、そして連隊砲要員(3名)で合計48人である。

民主連邦陸軍の大砲や装甲兵器は、ほぼ全て旅団編成である。独立していない。
歩兵連隊には往々にして砲兵旅団や戦車旅団が付属しており、連隊で独立した戦闘が可能である。
例えば本国軍のすべての連隊には10cm榴弾砲が旅団としてついている。
編成から見てわかる通り、民主連邦は歩兵部隊を主力としているのである。

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〈1個連隊の様子。機動力なんてそんなものはなかった。〉

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〈連隊砲もとい機動十五年式野砲。歩兵にとって身近な砲火力であり、重宝された。〉

連隊が2つ集まると師団である。
ここまで大規模な編成になることは稀である。全面的な戦争を想定したものである。
師団になると旅団が複数付属することもあり、陸軍の総力と言ってもいい。
いるだけでも物資を莫大に消費するのであった。

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〈1個師団の様子。更に旅団やらでいろいろ付属する。〉

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〈残念ながら、自動車化していないため輸送はピストンとなる。列車輸送が基本である。〉

なお、以上紹介したのは本国陸軍の編成である。
民主連邦陸軍には、そのほかにも華南共和国軍(旧民主連邦自動車化連隊)や、西部国境に駐屯させてある山岳歩兵大隊も指揮下に収めている。
名前からわかる通り前者は連隊規模、後者は大隊規模であり、本国軍のそれとそこまで乖離しない。
海軍にも陸戦隊が存在するが、これも数的に大隊規模である。
ただし装備は本国軍のものと大きく異なり、多分に先進的であった。




【設定後記】
いわゆるミニマムサイズに編成しなおした歩兵部隊です。
100人余りの歩兵をうまいこと分配することができました。
こういう頭数とか考えて配分するのが私は大好きです。
そのうえで並べるのが楽しくて仕方ありません。いやぁいい。

BR-1中型攻撃機ベリサリウス

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BR-1 Medium Bomber Plane Belisarius



【概要】
民主連邦海軍が主力として運用している双発中型爆撃機。
元はブリック共和国の双発偵察機を一部改修の上ライセンス生産したものである。
優速性と搭載量に極振りした性能であり、量産性も高いことから、海軍は気に入って使っている。
その分一人乗りだったり、防御力に難があったりするが、些末な問題である。きっと。


【概要】
民主連邦陸軍の制式双発戦闘機、殄Ⅰ型ピルム
その正式採用の裏で、もがき苦しんだある軍需企業があった。
その名前は赤星発動機。優秀な航空機エンジンの生産を主とするメーカーである。
この会社は民主連邦の軍需を寡占的に担っている銀星重工のパイを切り崩さんと虎視眈々としていたのである。

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〈殄Ⅰ型ピルム双発戦闘機。あまりろくな性能ではないことに定評がある。〉

話は殄Ⅰ型ピルムが後に採用されることとなった要求仕様書、「F1/16」に遡る。
これは双発重戦闘機を志向したものであったが、とにかく要求が画餅が如くハイスペックなものであった。
要旨は「戦闘機・爆撃機・偵察機として十全に使える双発機」というものである。
いわば子供のわがままのような要望であったのだ。

それを受注した銀星重工は全ての要求に応えようとした結果、駄作機を作り上げてしまったことは既に述べた。
その一方、この要求仕様書「F1/16」に自主開発で挑んだのが赤星発動機である。
赤星発動機の上層部は民主連邦の軍需企業にしては珍しく、諸外国の動向をも踏まえた大局的な目線を持っており、しかもしがらみに捕らわれない野心を抱いていた(悪く言えばあまり空気が読めなかった)。
その熱心な要求を受けた民主連邦陸軍兵器局は、自主開発ならこちらの懐も痛まないしということで双発戦闘機の製造を許認可したのである。

赤星発動機側は慧眼であったため、要求仕様書に書かれた多目的双発機なるものが出来ても、どうせ役には立たないだろうと一目見て判断していた。
そこで要求された性能を選別・捨象し、両立しなさそうなものは思い切って無視することにしたのである。
重視したのは速度並びに搭載量であった。
いくら機銃が多く装備されようが防御力があろうが、鈍重ならば容易に撃墜されるであろうという判断である。
また当時民主連邦が保有していた航空機はどれも搭載量が足りないことがネックになっていた。
いわば高速爆撃機を作ろうと考えていた訳である。

赤星発動機自体に独力の開発能力は備わってなかったので、計画の当初から外国から適当な軽双発機を選定、そのライセンス生産権を獲得、一部改造し要求計画に合わせていくことを考えていた。
諸外国の高性能な双発機を総覧した上で、選定されたのは民主連邦の友好国であるブリック共和国が保有するBC/R-25ニューニ輸送/偵察機であった。
本機はもともと同共和国の二シェルインダストリー社が民間ビジネス機として売り出したものであったが、その汎用性から同国空海軍でも軍用機として採用されている双発レシプロ機であった。
それは技術後進国、民主連邦から見て卓絶した搭載能力と生産性を有していたのである。
赤星発動機は早速ライセンス生産権を共和国並びに二シェル社と交渉し、獲得したのであった。

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〈二シェル社の原型機。非常に優れたビジネス用の民間機だった。〉

元の機体は輸送機として、しかも最前線に出すことは想定しない構造であったため、赤星発動機は更に手を加えた。
主な変更点は荷物ラックから爆弾槽への変更、増加装甲の搭載、機銃等装備の追加である。
そのため最高速度はオリジナルのものから少し低下し500km/h程度となっている。
それでも高速性は健在であり、試作機は民主連邦が保有していた何れの双発機を引き離した。

そして要求仕様書「F1/16」に基づいた双発機2機が出揃った。
後に「殄Ⅰ型ピルム」となる銀星重工の試作機は、要求仕様を守りすぎてよくわからないことになっていた。
その一方赤星発動機が満を持して送り込んだ試作双発機は、前者を速度、運動性、そして搭載能力で大きく引き離す性能を硬式トライアウトでみせつけたのである。
特に搭載能力の差は圧倒的であり、銀星試作機が500kgも積めないのに対し、赤星試作機は1500kgも積むことができた。

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〈500kg爆弾を持って笑顔を見せる赤星発動機社員。それは勝利の証だった。〉

しかし兵器局は銀星試作機を正式採用したのであった。
大手の銀星重工の方が生産設備の充実度から安心できるというのが公式見解であったが、理由は別にあった。
いくら高性能だからといって、公式の要求仕様書を無視した赤星発動機に軍配を上げるわけにはいかなかったのだ。
言わば面子の問題であった。
赤星発動機は時代の趨勢は読めていたが、明らかに空気を読めていなかった。
赤星発動機社員一同は泣きながら社屋に帰ったという。

試作機はこのまま廃棄処分になるところであったが、ここで現れたのが民主連邦海軍である。
当時海軍航空隊は陸戦隊の充実を図っており、その支援として高性能な陸上攻撃機を求めていた。
そんな中ちょうど棚から牡丹餅が如く高性能な双発機が不遇をかこっていた訳である。
海軍は赤星発動機の試作双発機を陸上攻撃機として採用したい旨を同社に通達した。

赤星発動機としても、その申し出は渡りに船であったため快諾し、海軍向けに少量改造を加えた試作機を製作した。
性能は相変わらず問題なかったため、海軍は正式採用、ここにBR-1 ベリサリウス攻撃機が誕生したのである。


【性能】
先述したように、本機は類い稀なる積載量を誇り、かつ高速性を発揮できるようになっている。
胴体格納庫だけで500kg爆弾を2発積むことが可能であり、更に両翼に100kg爆弾を計4発吊るせた。
何かと引き合いに出される殄Ⅰ型ピルムが100kg爆弾*4しか積めなかったことと比較して、それは驚異的な搭載量と言えたのであった。
500kg爆弾の代わりに大型航空魚雷を2本積むこともでき、海軍航空隊でも重宝された。
それなのに500km/hという速度を叩き出したのである。

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〈かなりスリムな機体である。大きさも殄Ⅰ型双発戦闘機より一回り小さい。〉

その高性能の要因の一つは発動機である。
ブリック共和国から輸入・ライセンス生産した空冷発動機はコンパクトかつ大馬力を発揮した。
自らライセンス生産した赤星発動機によって「アルデバラン」と名付けられたこの空冷エンジンは、900hpもの出力を持っていた。
発動機自体の容積も相まって、小さくまとめられた機体に高出力のエンジンを載せることができたのである。
これはブリック共和国の先進性を示すとともに、赤星発動機の確かな技術力を示している。

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〈機首には13mm機関砲が搭載されている。「アルデバラン」発動機は精巧な出来である。〉

もう一つは徹底的な割り振りと軽量化である。
武装は13mm機銃が機首に1門であり、そのほか防御機銃は一切ついていなかった。
いろんな任務を務めようとやたら機銃をつけたピルム双発戦闘機とはまさに対照的である。
そのためいくら優速でも、自機より速い敵機がいた場合ベリサリウスは容易に喪われた。
配備当初は単独で部隊を組んでいたが、優速性が発揮されなくなって以降は常に護衛戦闘機が必要となった。
乗員がわずか1名なのも、極端な割り振りの結果である。
複数人載せるスペースや、人の体重それ自体ですら惜しかったのだ。

そんな状況であったため、決して損耗率が低い機体ではなかったが、性能そしてそれなりに安価な調達コストであったため、本機は多く量産され、民主連邦海軍の主力爆撃機もとい攻撃機となった。
本機は民主連邦国内、そして同国が関与する戦域にて汎用的にみることができる。
陸軍の要請を受け内陸へたびたび出撃し、爆弾そして時には自らを地面にぶつけたのである。

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〈高高度を編隊で飛翔するベリサリウス。その丸みを帯びた機体から「トビウオ」と愛称された。〉


【運用】
ベリサリウス中型攻撃機は大型爆弾をとりあえず敵陣に高速で届けることができるため、陸海問わず重宝された。
近年における運用のほとんどは民主連邦の傀儡国家、華南共和国にてたびたび勃発する地方軍閥との紛争において駆り出されるというものである。
けたたましい音を立てて容赦なく500kg爆弾、時には焼夷弾をぶつけてくる本機は、敵兵の間で極めて恐れられた。
当然脅威視されたので、集中的に対空砲火を浴びて少なくない数が撃墜されたが。

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〈敵地で撃墜され、密林で発見された機体の残骸。乗員は捕まると高確率で血祭りにされる。〉

以上のように大変使い勝手が良かったので、民主連邦にしてはかなりの数が生産された。
赤星発動機としては満足いく結果であったが、同企業にとって生産能力のキャパシティーを超えていたため、生産機の一部は銀星重工が担っている。

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〈前線基地にて待機するベリサリウス。指揮官機は背中が紅く塗られるため、識別が容易だ。〉

なお銀星重工が生産した本機は性能が元のものと比べて低く、乗員は露骨にテンションが下がったし、現場指揮官は袖の下を渡して密かに赤星発動機生産分を優先的に自部隊に割り当てられるようにしてたという。



【開発後記】
ブリック共和国のスコウさんから数年前に設計図をいただいて生産した双発機です。
今回記事をリニューアルついでに、少し改造を加えました。
とてもシュッとした(関西的表現)機体が素敵ですよね。本当によくできてると思います。


地下司令部

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Democratic Union Army Underground Headquarters

【概要】
民主連邦陸海軍が備えた奥深くにある地下壕である。
有事の際はここに陸海軍の首脳達が集い、戦争計画を練る。
その重要性と機密性のため、首都プノンペンネの何処かにあるという以外、ごく一部の将兵以外には知らされていない。
内部はとても入り組んでおり、網の目のように部屋や通路が連なっていると言われている。
その入り口出口は首都全体に渡っていると噂されるぐらい広大な施設である。


【開発経緯】
民主連邦軍の高官達にとって、最も重要な論題は身の安全であった。
もちろん蓄財もそれなりに最大の関心を持たれていたが、命あっての金である。
彼等は贅沢もそこそこに、何よりも死なない事を重要視していた。

そんな陸海軍のエリート達にとって、従来の陸海軍省は安全性が保障できないと考えていた。
いずれの建物も荘厳な作りであったが、とてもテロや爆撃に耐えられるとは思えなかった。
もちろん平時の際は市民に威厳を示せるからそれでいい。
しかし有事の際に最高の軍首脳達がそこに籠って戦争計画を立案するのは、リスクが高い。
テロや爆撃に晒される危険性があった。
そこでより安全で、より秘密な施設を作るべきではないかと考えたのである。

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〈海軍省外観。贅沢な建物であった〉

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〈陸軍省内観、陸軍大臣室。贅沢な作りであった〉

末端の兵士や人民のことはあんまり気にかけない大統領以下高官達も、自らの安全のためならカネと手間を惜しまなかった。
ということで早速首都プノンペンネの地下を土竜のように開削する作業がひっそりと、しかし大々的に始まったのである。
まさに土建国家万歳的な政策は、数年に渡る建設期間と莫大な費用をかけて行われた。
予算は非民主主義的国家らしく、誤魔化しと粉飾がなされ計上がなされなかったので総額は不明である。

また時間がやたらとかかったのは、機密性を重視するため主な作業を夜間に極秘で行っていたためである。
そのため一時期のプノンペンネでは、夜中に地面に聞き耳を立てると、明らかに振動していたと言われる。
疑問を持たれるのを嫌がった政府は、夜間に憲兵を彼方此方に配置して、暇そうにしている人間を片っ端から取り締まった。
昼間にやむを得ず作業する場合は、下水道や電話線の工事と粉飾をかけてなされた。

涙ぐましい努力を以て機密性を保ちつつ、何とか使用可能な状態に持っていったと思った政府並びに軍であったが、諸外国の諜報機関はかなり正確にその計画を捉えていたと言われている。
何しろ首都プノンペンネの複数場所から、尋常じゃない量の排土が目撃されたためである。
また大々的な工事だったため、将兵を大規模に動かした事も、ばれる要因に繋がった。
政府や軍がポンコツである民主連邦では仕方のないことなのであった。

そういった状況のため、機密を保全しようと現在も新しい通路や部屋を付けたし作られ続けているようである。
しかし新しい施設を作り、結局その様相が露見し、その対策にまた新しい施設を改築するといういわばいたちごっこのような状況に陥っている。
この地下司令部は今も労力と費用を底なし沼のように飲み込んでいるのだ。


【性能】
ごくたまに政府が発表する報道写真では、作戦指令室/大会議室の様子が写っている。
この部屋は見た目から頑丈であり、驚異の強靭性と耐久性を備えている。
地下数十メートルに位置するため、爆弾の直撃を受けてもびくともしない。
また別室には発電室を複数設けており、空気も自己生産できるようになっている。
有事の際や定例合同会議の際はここに大統領や陸海軍首脳部が集う。
ちなみに文官はその存在を知らないものがほとんどである。

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〈立体地図を用意して作戦を討議する高官たち。部屋に入ることができる人間は極めて限られる〉

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〈同盟国の首脳会談もここで行われる。写真は民主連邦大統領とアストメリア共和国首相〉

階級配列
〈同盟国との合同作戦会議でもここが使用される。民主連邦軍だけでは不安なのである〉

ちなみに官僚主義に凝り固まった民主連邦軍らしく、陸海軍で勝手に別個で増築している状況である。
両軍の区画は分かれており、一方から一方に移る時は事前連絡と身分証明が必要だという。

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〈大統領自ら行う布告もここでなされることがある。威厳があるように見えるからいい施設である〉

スプロール現象的に広がっていく地下司令部は、制御不可能な規模になっている。
例えば水道工事の際に、間違えて地下通路に穴を開けてしまう事故は年10件を下らない。
おそらく行政側もどこに何があるのかそろそろ把握できない状況になっているといえよう。




【開発後記】
兵器というよりはジオラマに近い作品です。32*16のジオラマです。
黄色ブロックが余ったので作ってみました。
これで作戦会議シーンとか撮ると雰囲気出るんですよね。
こういうドラマ性を持たせる小道具、なかなか作ってて楽しいです



プロフィール

けーにっひ

Author:けーにっひ
駄作兵器と失敗兵器と旧兵器が大好きな人。
ロマン溢れる歪んだ兵器をレゴで作るのが趣味。
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