撃Ⅰ型戦闘機グラディウス

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Type Ⅰ Interceptor Plane Gradius


【概要】
民主連邦陸軍航空隊の数的主力を務める単座単葉のレシプロ戦闘機である。
同国初の全金属製単葉戦闘機であり、設計から製造に至るまで友好国の航空機メーカーの手厚い支援を要した。
そのため本機が配備された際、その洗練されたデザインから、陸軍は国内外に最新鋭戦闘機として喧伝した経緯を持つ。
ちなみに名称の「撃」は要撃戦闘機として民主連邦陸軍で使われていることを示す。

1000馬力超えの大型空冷エンジンを装備する頑丈な機体であり、優速性と防弾性能に定評がある。
一方で格闘戦は苦手であり、また航続距離も平均して劣る。迎撃戦闘機としての性格が強い。
その無骨で寸胴な姿はまさしく民主連邦陸軍航空隊の象徴であり、現在でも多くの将兵に愛され、今日も連邦中の空を元気に飛び回っている。


【開発経緯】
硬直した組織、そして全般的な機械工学技術不足の結果、諸外国と比較して旧式兵器を運用することに不名誉な定評がある民主連邦軍。
その中でも著しい遅れが指摘されていたのが航空機分野であった。
民主連邦には陸海軍それぞれに航空隊が存在していたが、その何れも型落ちの複葉戦闘機を主力としており、以前から質的不足が指摘されていたのである。

保守的な運用思想にどっぷり染まっていた民主連邦軍上層部達も、さすがに自分の居場所や首都が爆撃に対して無防備である状態は危機感を持って受け入れられ、連邦内の有力軍需企業に新型戦闘機の要望書を送ったのであった。
陸軍は「十五年式試作戦闘機計画要求書」を提示し、各メーカーに協力を呼びかけたが、銀星重工のみの参加となった(当時民主連邦内で航空機が設計可能な会社は他に2社存在したが、海王社は海軍の戦闘機設計で忙しく、また弱小メーカーである赤星発動機は銀星重工による圧力で辞退していた)。

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〈銀星重工開発部社員たち。青い制服は理工学エリートの証だ。〉

計画要求書では「全金属製」の「単座単葉」戦闘機であることが前提として求められた。
更にまだ影も形もない1000馬力空冷エンジンを搭載することまで指定されている。
いずれの条件も民主連邦ではほとんど未知の領域であり、独力での開発が困難と直感的に悟った銀星重工は海外の優秀な航空機メーカーと提携する方法を選んだ。
提携した海外メーカーもほぼ未開拓といえる民主連邦軍需は魅力的に映ったようであり、かなり前向きに協力した。
その結果製造機械を含む優秀な機材や技術者が民主連邦国内に流れ込み、連邦の航空技術は格段の改善を見せるようになったのである。

ほぼ他人任せとも言える開発チームの奮闘の結果、設計からモックアップ、試作まで極めてスムーズに進んだのであった。
試作機第1号は要求書提示のわずか半年後に姿を現した。
羽布織の複葉機に見慣れていた民主連邦の軍人達が全金属製単座単葉機を見てその近未来的な姿に驚嘆したのはある意味当たり前だったであろう。
ある航空将校は「試作機は光でキラキラと反射しており、その機体は未来を纏っているように見えた」と書き残している。

輝く全金属製であることから、ラテン語で短剣を意味する「グラディウス」と名付けられた本戦闘機は民主連邦航空技術の飛躍であり、マイルストーンとなった。
もっとも殆ど外国の技術を用いて(治具や製造機械も含めて!)造られたという点は民主連邦軍の後進性を示すことでもあったのである。

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〈横から見るとかなり寸胴で特徴的な機体である。右側面には必殺の13mm機関砲が装備されている。〉

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〈空冷発動機「シリウスA型」は故障が少なく整備も楽なことから百姓エンジンと呼称された。〉


【性能】
本機は以前運用されていたいずれの戦闘機も凌駕する性能であり、また量産性も考慮されていることから、量産からいくばく経たずしてほとんどの一線級航空部隊で運用されることになった
。配備にあたって最優先されたのが首都の防空部隊であり(首脳陣にとって自分の身を守る事が何よりも重要であった)、その後火種を抱える北部の国境地帯へ次々と送られていった。
前線の兵士達はその先進性に驚き、多くは歓迎した。

配備時に戦闘機パイロットや航空参謀を巻き込んで議論されたのが「旧式の複葉機に格闘戦で勝てるのか」というものであった。旧型機を好む一部の軍人達は複葉機の方が旋回性能に秀でているため、格闘戦において本機は旧型機に劣ると主張したのである。
実際に模擬空戦が何度か行われ、その結果確かに複葉機の方が旋回性に優れているものの、格闘戦で決定的に不利になるような差はなく、一撃離脱戦法に徹すれば圧倒的にグラディウスの方に分があることが判明した。
この議論はその後爆撃機が高速化したこともあり、徐々に終息した。
この結果格闘戦主体であった航空戦術が一部見直されることとなった。本機の配備はドクトリンまでも変えたのである。

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〈前線飛行場で待機するグラディウスの群れ。臙脂色の国籍カラーが映える。〉

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〈出撃直前の様子。本機は民主連邦陸軍作戦戦闘機の大半を占め、どこの飛行場でも見れる〉

十六年式戦闘機の欠点としては航続距離と飛行時間の短さが上げられる。
小型の機体に大馬力エンジンを積んでいたため、開発時から脚が短くなる事は指摘されていたが、海軍と比べて陸上の飛行場がある陸軍は問題が少ないと考えたのであった。

しかしいざ配備してみると、爆撃機を直衛できない点や頻繁に着陸補給を要求される点に対する不満が随所から起こった。
これは民主連邦北部にある華南地域への干渉紛争が勃発した際、長距離爆撃機隊に本戦闘機がエスコートできず、爆撃機に被害が続出したことから更に不安が高まった。

兵器局はそれに対して燃料搭載量を増やした改良型増槽を泥縄式に開発・運用したが、重い増槽を付けた分燃費が悪化し、抜本的な対策にならなかったのである。
本機は迎撃機的な要素が強く、打って出るような戦闘機の必要性を認識した民主連邦軍は新たな戦闘機を開発することになる。

なお当初の十六年式戦闘機スパタの武装は機首に7.7mm機関銃を2挺装備したのみであった。
しかし運用を重ねるごとに敵爆撃機に対する迎撃が主目的となり、威力不足が指摘されたために、改良型には13mm機関砲が機首の片側に取り付けられている。
13mmには焼夷弾や炸裂弾を搭載することができたため、これにより大型機にも有効なダメージを与えることが可能となった。
その一方で機体の片側に大型の機関砲を載せたことから重量増大並びにバランスが崩れ、空力的にも悪化したことから少なからず速度が低下したのであった。
また13mm機関砲は中軸から少し外れた場所に取り付けざるを得なかったため、小型機に対する命中精度も微妙である。
しかし大型機やソフトスキン車両を屠れる能力を得たため、現地部隊からはおおむね好評であった。

現在戦闘機として民主連邦陸軍航空隊各部隊にて運用されているほか、頑丈な機体と馬力のある発動機を活かして戦闘爆撃機としても重宝されている。
なお搭載武装としては250kg爆弾を2発積むことができ、地上攻撃の際に一役買っているという。




【開発後記】
レシプロ戦闘機に回帰してから初めての作品。
といっても缶詰パスタさんからいただいた設計図を起こして作っています。
とにかく30年代後半の先進機体って雰囲気がかっこいいのです。ありがとうございます!

十六年式重戦車コローニア

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Type 16th Heavy Tank Colonia


【概要】
民主連邦陸軍が保有する最大最強最高価な重戦車。
巨大な鉄の塊に砲3門、機銃3挺を備え、さながら要塞のように威圧感を与える外見となっている。当然製造費や整備費も高くつくため、数は少なく、また配備先も限られている。
その目立った外見とロマンあふれる容姿から民主連邦陸軍の象徴的な存在である。
しかし多砲塔戦車という宿命、装甲防御力や生存性はさして高い訳ではなく、稼働率も絶望的に低いため、あまり前線に出されず、前線に出されたとしても目立った戦果は残していないのが実情である。この兵器にとって一番ふさわしい戦場は首都のパレードなのだ。

【開発経緯】
近代戦にとって戦車は戦場の切り札となる重要な兵器である。
極めて保守的な民主連邦軍高官達も、先進的な諸外国の軍隊と、それが投入された戦場の事例を鑑みて朧気ながらようやくそれがわかりはじめていた。
民主連邦陸軍の根幹、精神は歩兵にあった。
陸軍は編成に当たって歩兵火力が重視されたし、極論すれば砲兵や爆撃機は歩兵を支援するための補助的存在に過ぎなかった。当然国産戦車を開発するにあたっても、いかに歩兵に追随し、支援するかというのが念頭におかれた。
こうして完成したのが十三年式戦車「バリスタ」(Type 13th Infantry Tank “Balista”)であった。大口径短砲身の主砲、側面機銃スポンソンなど独特な設計が随所にみられるのは歩兵支援を重視した設計に起因するのである。後にその補助として作られた十五年式軽戦車「サギッタ」(Type 15th Tankette “Sagitta”)も13mm機関砲を僅か1門しか装備していなかったことからも対歩兵を主眼として設計されたことが明白であった。

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〈主力戦車「バリスタ」。鉄の棺桶である〉

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〈軽戦車「サギッタ」。鉄の棺桶である〉

こうした歩兵を主眼に置く民主連邦陸軍の戦車は常に対戦車戦で不利を強いられた。
バリスタが放つ低初速の徹甲弾はことごとく敵戦車の装甲によって弾き返され(そもそも製鉄技術が低い民主連邦の徹甲弾はしばしば硬質な物体に当たると砕けた)、逆に敵戦車が放つ砲弾によって民主連邦陸軍の戦車はことごとく撃破された。
それはまるで「豆腐のようであった」と称された(あながち誇張ではなく、サギッタに至っては装甲があまりにも薄すぎて撃たれた弾丸の信管が不発した事例も存在した)。
将兵の不信感はいやまし、兵器局もさすがに対戦車戦でも対応可能な戦車の開発を決意する。

しかしそこから計画は難航する。
対戦車戦のみ想定した小口径長砲身の戦車では歩兵支援が不十分に終わる危険性が高いと一部の軍高官達が反発したのである。
その一方で長砲身戦車でも高性能の榴弾を使用すれば問題ないと別の高官達が反駁する。
兵器局、参謀本部、陸軍省、将官、果ては前線の将兵達まで巻き込んだ議論は収拾がつかず、結局対戦車戦を主眼に置きつつ、歩兵支援も従来の戦車と同様程度の能力を有す重戦車という極めて玉虫色の要望書が完成してしまったのであった。

これに困ったのが要望書を受け取った軍需企業、銀星重工(Silver Star Arsenal)である。
要望計画書の条件は大変厳しく、また大変不透明であったからだ。例えば主砲に関して、要望書では「高初速・貫通力甚大なる長砲身大口径砲を装備すべし。また対歩兵戦に応じて短砲身の歩兵砲を装備すべし」とあり、いろんな意見を盛り込みすぎた結果、何を目標とするのかよくわからないものとなっていた。
更に詳細を詰めようと兵器局側に問いかけたところ、歩兵戦重視派と戦車戦重視派で口角泡を飛ばす議論が未だに行われている始末である。

打つ手に窮した銀星重工は、唯一規約が緩く、「重戦車」とだけ指定がなされていた重量と寸法に光明を見出す。
超大型の重戦車を作り、そこに多様なバリエーションを持つ大砲や機銃を載せればいいのではないか?
つまりは多砲塔戦車である。
もちろん、銀星重工内にも「諸外国の例を鑑みて、多砲塔戦車は実戦において役に立たない」という至極もっともな反対意見は存在した。
しかし状況は予断を許さない状況であり、要望書を忠実に再現するのであれば数種類の砲塔を乗せることはほぼ確定となった今、あまり実戦で使えるとか戦力に耐えうるとかそういう事は後回しにされた。

こうしてある意味振り切った銀星重工開発チームは、順調な開発速度で要望計画書からわずか半年で試作車完成まで漕ぎつけた。
試作車を見ようと集まった民主連邦軍高官たちは、巨大な肢体を持つ多砲塔重戦車にいろんな意味で圧倒されることになった。
「対戦車派」の軍人達も「対歩兵派」の軍人達も「これは実戦には役に立たないな」と皮肉なことに全く同じことを考えたという。
しかし口出しすると自派の不利益となると確信したことから黙っていたのであった。

ともかく大型多砲塔戦車は威容だけはたっぷり存在した。
一目見て直感的に強そうだと判断した参謀総長並びに陸軍大臣が大いに気に入った(彼等はほとんど実戦において直接麾下の部隊を指揮したことがなかった)ことから、なんとこの戦車は正式に量産体制に移行することになる。
いずれにせよ、現場の声が介在する余地なんてなかったのである。

【性能】
その恵まれた巨体からは驚くほどの使えなさを誇る。
重量は80tを超え、無限履帯を持つ戦車なのにもかかわらず、軟弱な地盤では地面に埋まってしまう事例が多々見られた。
当然ながら機動力も低く、基本的には邪魔な民家や塀等を踏みつぶし進みゆく感じの戦車である。
その巨体を動かすために後部スペースを大分開け、特別に製作したV型12気筒水冷ガソリンエンジンを内蔵したが、やはり速度は大変遅く、巡航速度は時速10km程度であった。
もっとも歩兵の進撃に合わせて進撃する戦車であったためその点についてはあまり問題がなかったが…。
燃費も大変悪く中長距離の行軍には常のその後ろに燃料車が付属しないといけなかったし、兵站・補給担当者のストレッサーとなった。

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〈コローニアの側面。こんなものが速く走るはずはないのは火を見るより明らかである〉

武装は超重戦車の面目躍如といったところ、88mm戦車砲1門、75mm歩兵砲2門、12.7mm機銃2門、7.7mm機銃1丁を装備していた。
主砲塔は高い貫徹力を持つ長砲身88mm対戦車砲や、正面被弾形式を考慮した防盾など、対戦車戦において優位を保てる設計がなされている。また精密射撃を可能にするためにペリスコープを搭載し、高性能の無線機を積むために大型の鉢巻アンテナを載せる等、新機軸をたくさん盛り込んでいた。
もっともペリスコープは主砲の振動によりすぐにズレが生じてあんまり使い物にならなかった。
大型の無線機は小隊指揮戦車として重宝されるにふさわしい性能であったが、その分目立った大きいため実戦では集中的に弾が飛んできた。

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〈鉢巻アンテナが目立つ主砲塔。88mm戦車砲は確かに陸軍の戦車では一番貫徹力が大きかった〉


目を引くのは側面に配置されたスポンソンである。
対歩兵を考慮して左右に備え付けされたこのスポンソンには、機動十五年式七糎半野砲の砲部分がそのまま取り付けられている。
歩兵砲をそのまま取り付けたため、射程は短く、軟目標にしか効果がない。本戦車コローニアの重大な欠点の一つがこれである。
超重戦車とあって他の部分はそれなりに装甲厚を持たせた設計となっているのだが、スポンソン部分は装甲が薄く、乗員用のハッチもあることから脆弱だったのである。
しかも都合が悪いことに側面スポンソンの間には主砲塔基部があり、その下が弾薬庫であった。
この設計の拙さは実戦でいかんなく発揮されることになるのであった。

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〈スポンソン部分のアップ。よりによって一番大事な側面にハッチがある憎い設計である〉

乗員は操縦手、機銃手、副砲手2名、主砲手、装填手、無線機手、そして車長の8名である。
少し車体を動かすだけで混乱をきたすこと必至であり、車長は7名の部下を動かしながら、周囲状況を把握するという高いレベルが求められた。
履帯も自重で直ぐに潰れたり、外れたりするので頻繁に修理交換が必要であった。
そのため戦場に本戦車を投入するには入念な準備と根回しが必要であり、あんまり役に立たない兵器のために多くのリソースを投入するという結果に繋がったのである。

【運用】
コローニアは当然ながら調達費が大変高く、量産体制に移ったといってもなかなか予想されていた既定の数に届かなかった。
その調達費は民主連邦陸軍主力戦車である十二年式中戦車バリスタの約3倍にも及んだという。
コローニアは逐次生産され機甲旅団に配備された(余談だが民主連邦陸軍は戦車や装甲車をまとめて旅団化し、歩兵連隊に付属する方式をとっていた)が、首都周辺に展開する部隊を優先・集中的に配備されたという。
首都で定期的に行われる軍事パレードの目玉にとってはこの上なくちょうど良い代物であったのである。
その巨体は首都プノンペンネを貫く大通りを威厳たっぷりでのっそりと走り、見学に来ていた世界中のメディアを驚かせたという(主に否定的に報道されたが)。
なお最初のパレードで大通りの舗装をその重量で思いっきり破壊してしまったことから、次回以降コローニアが走るときは鉄板が敷かれることになったのであった。

実戦に参加したのは多くの新型兵器と同様、民主連邦北部にある傀儡国家、華南共和国内における敵対軍閥との戦闘においてである。
この戦闘において軍閥勢力が繰り出した外国輸入の戦車は民主連邦軍の主力戦車を攻撃防御共に上回る性能であった(そもそも民主連邦軍戦車は対戦車戦をあんまり想定していない造りであった)ため、派遣部隊の損害が増し、苦慮した現地指揮官はコローニアを含む機甲部隊の派遣を要請したのである。
コローニアの88mm対戦車砲ならば対抗できると見越しての要請であった。
こうして民主連邦首都からもっとも前線の駅まで鉄道で密かに(といっても図体が大きいし特注貨車を使用するため沿線住民からはバレバレであった)運ばれたコローニア含む民主連邦陸軍独立機甲旅団は、戦場に送られることになった。
薄々いろんな人々が感じていたように「超重戦車」コローニアは実戦だと絶望的な機動性を発揮した。

そもそも前線に辿り着かないのが問題であった。
最寄りの駅から卸したコローニアのうち、予定された時間内で数十キロ先の前線司令部に到達した車両はわずか20%に過ぎなかった。
多くの車両はエンストしたり、燃料不足に陥ったり、地面に埋まりこんだり、酷い車両だとエンジンが焼き付きそのまま炎上し晴れて全損となった。
コローニアを受け取った前線司令官は頼もしい車両が来たと喜んだが、すぐに物資の消費と兵站計画に頭を悩ませるようになった。

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〈コローニア後部。すごく大きく、すごく燃費が悪いエンジンはすぐに廃品となる。灰色箱は石炭を入れて燃料を温める装置〉

それでも戦地に派遣されたコローニアは勇敢に戦った。
時には燃料が切れ立ち往生し、時には前線の石橋を踏み崩し、そして泥濘にストックし放棄されつつも敵軍閥部隊に対して無視できない戦果を挙げた。
前線司令部の目論見通り88mm対戦車砲の威力は目覚ましく、敵軍のトーチカや戦車を一撃で葬り去った。
歩兵部隊の持つ75mm歩兵砲や、主力戦車の47mm速射砲で絶望的な対戦車戦を繰り広げていた前線将兵からは歓喜の声で迎えられた。

しかしコローニアの運用はやはり相当難しく、全損車両のほとんどは戦闘によるものではなく地形的に動けなくなり放棄されたものである(ちなみに放棄する際は敵に利用されないよう弾薬庫に爆発物を取り付け誘爆させ徹底的に破壊した)。
放棄された車両は重く、回収が困難であることも問題であった。
更に先述した側面スポンソン部分の弱点が敵軍に知れ渡るようになり、スポンソンを突き破った敵弾が弾薬庫に誘爆した結果、砲塔・乗員もろとも天高く吹き飛ぶ事例が散見されるようになった。
かくて大きな犠牲を払いながら超重戦車は奮闘したのである。

以上の結果を鑑みて停戦後ほとんどの車両は首都の機甲部隊に戻されることになったのであった。
やはり多砲塔戦車は軍事パレードでもっとも輝いたのである。


【内部図解】
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巨体を動かす驚異の巨大水冷エンジン。
でもこれでも常に力不足である。

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コローニア内部。8名の乗員とありったけの弾薬を搭載している。
迷路かデパートみたいである。ちなみに砲塔下部弾薬庫が引火すると驚くほど綺麗に爆発するぞ。

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黒い弾頭が88mm主砲のもの。赤い弾頭が75mm副砲のものである。
見た目より車内は遥かに狭く、命は短い。

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スポンソン内部。照準と操作は一人で行う。
乗員は生きた心地がしないという。

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乗員がいなくなった様相の車内後部。一番後ろには自衛用のSMGがかかっている。
しかし乗員8人に対して武器はこれだけなので多分気休めにもならない。

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操縦手・機銃主席。
射角が異常に狭いことが特徴である。




【開発後記】
究極のロマン兵器を目指した重戦車です。とにかくカッコよさを優先!論理性は後!という感じです。
鉢巻型アンテナとか88mm戦車砲とか要素要素に管理人のロマンを入れています。
概念のモデルはインディージョーンズに出てきた重戦車。英軍マークⅠに砲塔を付けた変な形が特徴ですね。
私が最高に気に入っている作品の一つです。内部までちゃんと作れてよかったなぁ














民主連邦陸軍

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レゴランド民主主義連邦の国土、権益、そして自軍の予算と権限を護る為に日夜研鑽を欠かさない巨大組織。
それが民主連邦陸軍である。


【民主連邦陸軍について】
・その編成と特徴
・各部隊の配備先とその性格


【小火器・砲】

七年式歩兵銃改二
五式半自動歩槍

八年式携帯対戦車無反動砲
ファンツァーパウスト

十二年式重機関銃
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その他民主連邦軍の小火器一覧
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十四年式三糎機動対空機関砲
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機動九年式七糎半野砲/対戦車砲
機動九年式野砲

機動九年式七糎半野砲改
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機動十五年式七糎半野砲
無題

十四年式七糎半軽量噴進砲
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十五年式六糎速射砲
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十三年式十二糎加農砲
十三年式加農砲

十六年式十糎榴弾砲
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十二年式十五糎半重榴弾砲
十二年式榴弾砲

十五年式三十六糎超重榴弾砲
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十四年式陸上魚雷カタラウヌム
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十六年式特殊弾頭迫撃砲
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【車両】

十三年式偵察車/弾薬輸送車ロリカ
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十五年式小型乗用車
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十年式中型乗用車
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試製十一年式内火艇
特一式内火艇

十四年式牽引自動車カリカ
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十一年式四輪自動貨車
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十四年式重対空自動貨車フェリクス
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十五年式軽装甲車ウェリテス
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十二年式重装甲車リクトル
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十四年式突撃榴弾砲スパタ
正面

十四年式特殊散布装甲車ボルジア
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十四年式特殊装甲車デュロモイ
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十四年式雪上装甲車カタフラクト
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十四年式空挺装甲車オナガー
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十五年式装甲兵員輸送車スクトゥム
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十三年式主力戦車バリスタ改
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十三年式歩兵戦車プギオ
十三年式歩兵戦車プギオ

十五年式軽戦車サギッタ
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十六年式重戦車コローニア
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【空戦力】

十五年式回転翼機アラウデ
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撃Ⅰ型戦闘機グラディウス
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撃Ⅱ型戦闘機サウニオン
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殄Ⅰ型戦闘機ピルム
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【その他兵器】

地下総司令部
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十五年式装甲兵員輸送車スクトゥム

APC1
15th Year Type Armoured Personnel Carrier Scutum


【概要】
民主連邦陸軍初のAPC。ようやく近代的軍隊ぽくなってきた?
しかしその内実はもっと旧時代から呼ばれた何かであった。
欲張って大砲やら機銃やら載せた結果本来のAPCとしては中途半端な出来になってしまった。

ちなみにブリック共和国のゲリュオンI主力戦車のシャーシを使っている。(参照
当然ながら元の性能を驚くほど下回る出来であり、そもそも主力戦車ですらないのである。


【開発経緯】
ゲリュオン。それはブリック共和国軍の主力戦車である。
その量産と性能のバランス性は各国で規範となり、様々な軍隊で運用されている名戦車である(参照
実は共和国と同盟関係にある民主連邦としても再三導入が検討されていた。
民主連邦も大国としてふさわしい現代的な機甲部隊を持たなくてはならない!と考える極一部の軍人達がいたのだ。

しかしその話はコネと佞臣とロマンと旧式兵器が支配する民主連邦軍に通るわけがなかった。
最大の要因としては上層部が戦車を歩兵支援・直協用として戦車と言う存在をとらえていたからである。
戦車は歩兵を支援するものであり大口径榴弾砲が必須!速度があっても歩兵が追いつけなくては意味がないではないか!と。
結局時代錯誤も甚だしい十三年式主力戦車「バリスタ」も完成・量産によってゲリュオンのラ国は立ち消えになったのであった。

そうして消えかけたゲリュオン国産化計画に再び光を照らそうとしたのが民主連邦の傀儡国家、華南共和国政府であった。
共和国大統領マルクグラーフ陸軍大将以下政府首脳は軍の精鋭化・近代化を必死に模索していたためである。
彼等はポンコツ揃いの民主連邦本国政府高官達と異なり現実が良く見えていたのであった。

華南共和国軍は独自にゲリュオン主力戦車を運用しようと決心したのである。
早速ブリック共和国の総合商社と話を付けたのであった。
共和国側としても本国でぽしゃったゲリュオンの輸出ができるという好条件であったため話は見事に決まったのであった。
華南共和国版ゲリュオンは政府隷下の企業「華南資源開発公司」によって本国の許可なく試作されたのである。
この戦車は「試十四式主力戦車」と命名された。

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〈華南共和国によって試作されたゲリュオンⅠ〉

試作型ゲリュオンの性能は良好であった。
技術がおぼつかないため元と比較すると特に射撃精度において劣ったが、それでもこれまで民主連邦が保有していたすべての戦車を凌駕する性能であった。
マルクグラーフ大統領は性能にいたく満足し、早速量産を命じたのであった。
工場の生産ラインは稼働し始め、車体部分が続々と納入されていた。
砲塔に関しては電子部品をより改良するため生産は後回しにされていたようである。

しかし思わぬ事件がマルクグラーフ大統領の目算を破綻されてしまう。
彼の右腕であり、共和国軍の近代化に勤しんでいたクルフュルスト大佐が事故死を遂げてしまったのである。
共和国軍の強大化を良く思わない本国政府高官の一部による犯行という説もあるが定かではない。
それはともあれ共和国軍が一時期混乱したのは事実であり、それに伴いゲリュオン量産計画も闇に葬られたのである。
先行量産されたゲリュオンの車体部分はどさくさまぎれに本国政府に運ばれたのであった。

しかし近代兵器に疎い民主連邦では日の目を見ることもなく、埠頭の倉庫に埃を被ったまま放置される始末。
誰もその意味がよくわからなかったのである。
1年後、たまたま倉庫の検品をしていたところこの車体が「再発見」された。
車体はスクラップにすることも検討されたが、捨てるには惜しいと思った民主連邦軍はこれを利用することを考えた。
車内容積が広い事に目を付けた兵器局は装甲兵員輸送車、APCにしようと考えたのである。

当時陸軍はAPCの不足を痛感していた。
歩兵は歩くものであり、足りない部分は四輪貨車を使えばいいと確信していた軍は、華南共和国にて発生する匪賊に大変手を焼いていたのである。
匪賊の繰り出すゲリラ戦術に、装甲化されていないトラックは脆く、生身の歩兵は更に脆かった。

兵器局の「ゲリュオンの車体を使ってAPCにしろ」という指示を受けたのは毎度おなじみ銀星重工である。
銀星重工はAPCなるものがよくわからなかったが、兵器局の「歩兵が載れる戦車のようなもの」という言葉を精いっぱい解釈して、思うがままに設計したのであった。
側面に機銃を付けたのは銀星重工が開発した主力戦車「バリスタ」の流れを受けたものと想定される。
こうしてゲリュオンⅠの導入から足掛け数年を経て姿を現したAPCの「ようなもの」、それこそが本車両である。


【性能】
本車はAPCというよりむしろ旧世代の突撃砲に近い。
もっとも突撃砲としても側面に機銃座があったりと最早なんだかよくわからない代物である。
武装は主砲75mm歩兵砲、側面に13mm機銃2挺を装備している。
ゲリュオンⅠの生みの親、ブリック共和国のある文官はこの車両を見て、達観したように「むしろDUL的にはまともな方だと思う」とつぶやいたという。

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〈側面には威風堂々と13mm機銃が装備されている。〉

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〈すし詰めのように狭い車内。装甲化した窮屈で安全な車内か、オープントップで清々しくも危険な車外か選べる。〉

乗員は操縦・砲手1名、車長1名。歩兵は内部で6人乗る。
車外にも手摺を設けたので外ならば更に4名程度は載ることが可能である。
ただし外では身の安全の保障はできない。
ちなみに申し訳程度の煙幕発射機が側面端についている。役に立ったことはないという。

他国からは「いつもの民主連邦」と片付けられる程度によろしくない出来の本車であったが、将兵からは意外に好評であった。
付け足しの戦闘室部分はともかく、車体はゲリュオンⅠ譲りの丈夫さだったからである。
また足回りの丈夫さ、そして機動力もさすがゲリュオンというべき走破性だったという。

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兵員は後部から外に出ることができる。
当然ながら後部が一番の弱点だ。

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内部の様子。兵員を下せば高性能の無線機も積むことができる。




【開発後記】
ブリック共和国のスコウさんごめんなさい。という感じが前面に出たAPC。数年前の作品を改めて公開です。
作ってみたら33B突撃砲に近い感じになってしまった気がします。
当初は真面目にゲリュオンを作ろうと思っていたのにどうしてこうなったのか。

十五年式三十六糎超重榴弾砲

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360mm Super Heavy Howizer 15th Year Type

【概要】
とにかくでかい、重い、威力高いを地で行った重榴弾砲。
口径360mmの砲弾をぶっ飛ばす民主連邦陸軍砲兵隊の最終兵器である。
絶大な威力を誇るが短めの射程と絶望の展開能力を誇る。
何しろ重量が20t近くあるため当然と言えば当然ではある。


【開発経緯】
民主連邦陸軍砲兵隊は長らく十二年式重榴弾砲を愛用していた。
アストメリア共和国製をライセンス生産したということもありその性能はかなり上々であった。
何しろ6発連続でバースト射撃までできるぐらいなのである。
その火力は十分といってよかった。

しかし瞬発大火力の大砲が一部の国で標準となっておりそれに合わせた砲を民主連邦でも作ろうという意見が広まった。
例えばある合衆国の技官は「砲火力の強化は必須であり、常に追求すべき」と意見したという。
これらの状況を鑑みた民主連邦兵器局は大口径の榴弾砲を製作することに決定したのであった。

近代戦を想定した結果、塹壕やトーチカを一撃で破壊せしめる威力が求められ、鰻登りに砲口径が増加した。
当初予定は25cmだったが最終結果は36cmまで口径が広がったのである。
当然砲身が重くなったため短く切り詰めた結果射程距離は短くなっていった。

実験は試行錯誤の繰り返しだった。
余りにも砲身が重いため通常のゴムタイヤは壊れ、仕方なく履帯が装着されることになった。
そしてまた重くなった。
また砲架の部分も重さや射撃時の反動で破損事故が多発したため次第に多肉化することとなった。
やっぱりそれで重くなった。
重量により何かが破損し、それを解決した結果重量が嵩んでいくという地獄のような状況だったのである。

それでも民主連邦トップ軍需メーカーの誇りにかけて銀星重工は何とか同砲を完成させた。
36cmの砲身は観る者を威圧させ、20t近い巨体は唸りを挙げて見物者を驚かせた。
こうして世界最大の野戦重砲は姿を現したのである。

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【口径360mm 操作要員10名 最大射程10000m】

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後部から。
砲架部分は射撃に耐えられるようにとにかくごつくなった。
砲架の横についているものは駐鍬である。
これを打ち込んで反動を何とか吸収する。

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国境地帯に配備された超重榴弾砲の様子。
運搬するのは大変だが絶大な威圧感を発揮する。

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華南共和国西部の市街地から。
36cm砲弾はこれでもかという程重く、扱いに大変苦労する。

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砲弾装填のシーン。
右奥は照準をつけ、左奥の人員が俯角を調整する。
砲弾は棒のようなものを用いてゆっくりと装填していく。

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カモフラージュされた同砲。
ちなみに1時間に3発程度しか撃てなく、これ以上撃つと高熱によるガスや火薬滓により大変危険である。
とにかくゆっくり撃つのが大事である。


【実戦】
本砲の配備先は本国軍の一部優良砲兵旅団に限られている。
何しろ運搬が大変であり、牽引車2台でようやく動かすことができる。
更に360mm砲弾の補給を考えると、牽引車や自動貨車に余裕のある優良装備の部隊にしか扱うことができなかった。
そもそも牽引車2台でも重いぐらいで、やむを得ず遠隔地に運ぶときは分解して鉄道で送ったのであった。

ほかの民主連邦の多くの兵器と同じく、初の実戦は華南共和国内での匪賊・軍閥勢力の討伐時であった。
何度目かわからない停戦合意がきな臭くなり、前線司令官はひそかに本砲と運用部隊を鉄路で麾下の舞台に編入していたのである。民主連邦軍では中央とのコネが何よりも役に立った。
この巨大榴弾砲は、軍事衝突と共に威力を発揮し、敵軍の強化陣地や塹壕、トーチカを跡形もなく破壊したという。
またある時は建物に籠った敵部隊を文字通り「一区画ごと」吹き飛ばした。
火力は正義なのであった。

もっともその裏で補給部隊はとても嵩張りとても重い砲弾の補充に苦労した。
また起伏に富む土地ではそもそも大砲自体が辿り着かない場合も多く、運用にも難を示した。
機動力と火力の両立は民主連邦の工業力ではできない相談だったのである。




【開発後記】
やはり砲の華といえば重砲!ということでとにかく太くて短い野戦重砲を造ってみました。
モデルはドイツ軍の42cm榴弾砲ディッケ・ベルタとかソ連軍のB4203榴弾砲とかですかねー。
正面から見るとなかなか凶悪な面構えなので我ながら素敵だと思います。
運用する前線は大変でしょうけどね。本当に。
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Author:けーにっひ
駄作兵器と失敗兵器と旧兵器が大好きな人。
ロマン溢れるいろいろと歪んだ兵器をレゴで作るのが趣味。

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