十五年式軽装甲車ウェリテス

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15th Year Type Light Vehicle Velites


【概要】
民主連邦陸軍にて運用されている軽装甲車。
安価で量産性も高いことから、多く配備されており、機甲部隊の数的主力を担っている。
その頼りない見た目から期待される通り、絶妙な打たれ弱さと攻撃力不足が特徴である。
小銃弾程度なら跳ね返すことができるが、重機関銃まで行くと少し怪しい程度の防御力を持つ。
当然ながら将兵たちからは車輪がついた棺桶呼ばわりされている。

しかし後方警備や治安維持ではそれなりに使え、一応は装甲車両なのでそれなりに重宝されている。
本車両は民主連邦陸軍が行く処どこでも見られ、戦い、そして戦場に骸を晒しているのである。


【開発経緯】
民主連邦陸軍ほど機械化に無関心であった軍隊は世界広しと言えどもなかなか無かったであろう。
陸軍上層部は歩兵こそ戦場の主役と信じていたし、その充活こそが勝利の鍵であると疑わなかった。
結果として歩兵火力が異常に高く、砲兵火力はまぁまぁ、そして機甲戦力は皆無という歪な組織となっていた。
彼等は妄想の戦場を想定し、卓上の戦略と立てていた訳である。

その代償はたっぷりと払う事となった。
勢いと虚勢だけはあった民主連邦はたびたび権益拡張のため侵略行動を繰り返したが、哀れ大抵の場合遠征軍は現地で袋叩きにされて帰ってきた。
歩兵部隊だけでは近代戦争を遂行するにはあまりにも脆弱で、あまりにも遅かったのである。
別に直接血を流しているわけではない本国の陸軍高官達もその現実に気付いたのであった。

戦訓を分析した結果、問題の一つとして機甲戦力の不足があることが指摘された。
当時機甲戦力の中心は、鉄の棺桶と名高い十三年式主力戦車であったが、脆弱な割にコストがかかったため前線に十分な数が行き渡っていなかった。
その穴埋めとなるべく開発されていた十二年式重装甲車も戦車の代替という性格が強く、決して安価なわけではなかった。
もっと安く、手軽に運用でき、歩兵部隊を掩護する装甲車が求められたのである。

そこで、陸戦兵器の開発を一手に担っていた軍需企業、銀星重工に早速開発指示が出された。
要求仕様書は例のごとく分厚かったが、主な点は以下の通りであった。
・小型かつ軽量にして良好な機動力を有する装輪車両とする事
・敵歩兵もしくは敵陣地を制圧するために回転式砲塔を有し、武装を軽砲もしくは機銃とする事
・生産性を重視した簡便な構造とすること

銀星重工は以前から有象無象の駄作陸戦兵器をいろいろと開発製造していたため、手慣れたものであった。
要求仕様書をそつなくこなし、試作車は開発指示から半年後に早くも姿を現したのであった。
高官達が集った試験場でも、試作装甲車は問題なく動作し、大過なく生産されることになった。
ただし試作型は機銃搭載型と軽砲搭載型が存在したが、後者は排煙が酷く、一発撃つごとに乗員が酸欠で死にそうになったので、機銃搭載型のみ採用されることとなったのであった。

銀星重工は製造設備も充実していたため、生産指示が出されて早急に諸部隊に納入された。
前線部隊には大量の本車が送られることとなり、すぐに機甲部隊の中軸となったのである。
その真価が試される時は予想以上に早く、早速紛争耐えない華南地域に送られることとなった。


【性能】
本車両の最大の特徴は生産性の向上のためにいろいろと割り切った構造であろう。
銀星重工は慣れた手つきで無慈悲にもかなり徹底した機能の縮小化を行った。
例えば、従来全ての装甲車両に搭載されていた無線機は本兵器には搭載されていない。
他にも発動機周りを当時生産していた民生用自動車と同一のものにする等、なるべく楽に作れるようにしていた。
そのため、この哀れな車両は始動する時、前面のハンドルを回さなければならなかったのである。
ちなみに発動機の馬力はわずか50hpであった。

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〈搭載されている発動機。馬力が弱く時代遅れであったが、とにかく頑丈で簡易な構造だった。〉

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〈まさかの手動スターター。クランク棒は本装甲車で標準装備されている。〉

既にあった十二年式重装甲車リクトルと比較して重量が半分程度であったため、本車両は「十五年式軽装甲車ウェリテス」という正式名称を賜ったのであった。ウェリテスは共和政ローマ期の軽装歩兵である。
「装甲車」という名前だが、装甲は脆く、ありとあらゆる対戦車兵器に太刀打ちできなかった。
対戦車兵器どころか、口径13mm以上の重機関銃に撃たれても場合により貫通したぐらいである。
特に旋回式銃塔部分はコンパクトにしたため限りなく装甲を削っており、最も脆弱であった。
それでも小銃弾は弾くので、生身の肉体よりは安全である。

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〈後部には乗り降り用の大きなハッチが存在する。当然ながらここも弱点だ。〉

十五年式軽装甲車の唯一の武装である13mm機関砲は全周旋回できる銃塔に載せられていた。
内部は激烈に狭く、また車長が銃手を兼任するので、なかなか大変な仕様である。
車長は足元にあるフットペダルを用いて銃塔を回転させるというなかなか面白い方式である。
なお13mm機関砲自体は敵歩兵や軟目標に対し効果的であり、割と好評であった。

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〈銃塔装甲部分は外すことができる。如何に狭いかが一目でわかる。〉

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〈13mm機関砲。歩兵部隊が用いる7.7mm機関銃は威力不足であったため、重宝された。〉

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〈予備弾倉ラックは側面スペアタイヤの下に備え付けてある。ここを狙って撃つと爆ぜる。〉

防御上数えきれないぐらいの問題点があったが、高い量産性がそれを誤魔化し、一線級部隊から後方治安維持部隊まで様々な陸軍部隊、地域、役割で運用されることとなった。
民主連邦の将兵たちはこの車両と苦楽を共にし、時には死を分かち合ったのである。


【運用】
従来民主連邦軍においてそれなりに装甲車は貴重であったため、車長は下士官もしくは将校が務めていた。
しかし本車両の高い生産性と2人乗りというコンパクト性は、下士官以下ですら車長になった。
また、実戦力はともかくとして数的には大幅に保有車両数は増加したため、今まで難しかった機甲戦力の集中運用が可能となったのである。

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〈基地にて待機する十五年式軽装甲車群。民主連邦では多く見られる光景だ。〉

最前線においても十五年式軽装甲車は多用されたが、やはりその装甲の薄さは致命的であった。
敵対軍閥が用いる対戦車ライフルや速射砲によって、どの角度からも大体はボコボコにされた。
当初は兵士達も対応に苦慮し、脆弱箇所に装甲板を張り付ける等して対処していたが、そのうちどの方向からも大体撃ち抜かれることが判明したため、乗員達はもがくのをやめお札やお守りを車内に持ち込むぐらいしかやることがなくなった。

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〈市街地にて歩兵部隊と共闘する様子。歩兵達にとって最も身近な装甲車だった。〉

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〈十三年式主力戦車改との比較。一回り小さいが、どちらも弱いことには変わりはない。〉

しかしどれだけ酷使されても動く高い耐久性や簡便な構造は、前線部隊にありがたがられている。
日々不条理にもがく民主連邦兵達は、感謝と侮蔑の矛盾した思いを抱きながら本車両に対し、「車輪の付いた棺桶」と愛着を持ちながら呼称しているのである。

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〈前線に赴くウェリテス。後ろからの様子はロマンに満ち溢れている。〉




【開発後記】
1920年代の装甲車を念頭に置きつつ、作ってみたやつです。
そこはかとなく漂う頼りなさとブリキ感を狙ってみました。
人や機関砲が乗りつつコンパクトな回転式銃塔を製作するのは初めてでしたが、なかなかうまくいって満足です。
これもお気に入りの作品ですね。





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Author:けーにっひ
駄作兵器と失敗兵器と旧兵器が大好きな人。
ロマン溢れるいろいろと歪んだ兵器をレゴで作るのが趣味。

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