FBS-1戦闘飛行艇ラルス

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FBS-1 Fighter Flying Boat Larus

【概要】
民主連邦海軍が堂々配備・運用している戦闘飛行艇である。
飛行艇を戦闘機としてそれなりに勘定しているあたり軍の後進性が表れている。
しかし多くの島嶼を含む民主連邦にとってかなり便利な兵器であることもまた事実である。
制空任務に使われることは滅多になく、偵察や哨戒、連絡や救援任務で運用されることの方が多い。


【開発経緯】
民主連邦。
その国土は入り組んだパインドネシア半島を中心に無数の島嶼によって成り立っていた。
その領海と経済圏と利権と威厳を守護する民主連邦海軍は、その複雑な地形に対処せねばならなかったのである。
海軍の存在価値を強く認識している(というか大統領自体が海軍出身であった)政府は、莫大な予算を使えもしない駄作兵器と共に海軍の拡充に充てていたが、それでも膨大な海岸線と島嶼群はなお余りあるものがあった。

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〈部隊の閲兵を敢行する日虎大統領。彼の海軍拡充の意志は並大抵たるものではなかった。〉

地形上の弊害による制約は様々な所で影響していたが、その中でも深刻であったのは補給整備の問題である。
南方に置かれた基地は不足しておりかつ整備もままならず、到底万全な国防とは言い難い状況であった。
基地という名前でその実態は将兵はわずか数人、小銃が数丁、手漕ぎボートが一隻、粗末な小屋が一棟のみという散々たる様相が末端のあちらこちらでみられた。
それら遥か彼方辺境の島々への勤務は、海軍組織内での懲罰人事として一部では使われていたという。

そういう有様であったから、飛行場を有した前線基地等はその母数に比して相当数に少なかった。
また書類上では飛行場が「ある」にもかかわらず、実際は「ない」もしくは「使えない」という例も多く、不足なく使用できる飛行場となると更に少なくなったのであった。
極端な事例では、現地部隊の将校達が飛行場設営の費用を着服していたため、記録ではある飛行場が全く存在せず、飛来した味方航空機が全く着陸できず、仕方なく海に不時着したということもあったのである。

幸いにしてちゃんと存在する前線飛行場でも多くは未舗装であり、ヤシの木々を切り開いて造成した所が殆どであった。
少なくない数の飛行機が着陸時に破損したり劣化したりしており、海軍上層部としても深刻に捉えていたのである。
そこで飛行場を使わない飛行機…すなわち飛行艇を新しく配備しようと考えたのも割と普通な道理であった。
しかもどうせなら迫りくる敵航空機を屠り、制空権も握ってしまおうということでいきなり作るのはばりばりの戦闘飛行艇である(戦闘艇というジャンル自体旧式なのではないかという理論はいつものごとくこの国では無視された)。

早速兵器局から民主連邦軍需企業の雄、銀星重工に要求仕様書「FB1/16」が提出されたのであった。
大まかな要求は二点であった。
一点目は敵戦闘機に追随できる機動性と速度(400km/h以上)を持つ事。
二点目はある程度の余裕積載量を持ち、物資や人員の輸送を行える事であった。
結局いつもの通り軍上層部による絵に描いた餅的な要求である。

銀星重工はそれに対し、当時社内で持っていた最強の発動機である「デネブB型」(1300馬力)を投入した。
この水冷発動機は、依然進められていた大型重爆に搭載しようと試作されたものだが計画が頓挫した上、やたら巨大化したせいで持て余した結果、倉庫の奥底で眠っていたものである。
この大型発動機を戦闘艇に載せようと躍起になった結果、設計は発動機を起点として進められたのであった。

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〈「デネブ」発動機を囲む銀星重工社員達。体躯と比してその巨大さがわかる。〉

他にも流線形を志向した艇体、新型の主翼形状等、どうにもならないものをどうにかしようと奮闘した結果、仕様書提出から1年後に完成した試作機では、戦闘艇としては驚異の最高速度400km/hを達成したのであった。
この結果にいたく満足した民主連邦海軍は、早速銀星重工に試作機の量産を明示したのである。

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〈精悍で美しい艇体。銀星重工設計陣の無駄な努力の賜物である。〉


【性能】
いろいろと気を遣って設計されたため、飛行艇としてはかなりの高速性を誇る。
といっても水上戦闘機にすればよかったのでは程度の能力である。
しかし飛行艇型式にした結果、胴体に容量の余裕ができたため、人員が4人も乗った。

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〈内部の様子。見えにくいが操縦手と後部機銃手の間には無線機手が乗る。〉

武装は13mm機関砲を2挺装備した。
前方機銃は前方向に約100度の角度をつけて志向することができるが、前方機銃手は剥き出しであるため、常に風が当たり、時には敵の弾が当たり、更には操縦手の視界を著しく制限するという欠点を持っている。
後方機銃はそれに比べると遥かにましである。90度の旋回が可能である。
わずかながら命中率を高めるため、照準には倍率を変えることができるスコープが何故か取り付けられた。

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〈剥き出しの前方機銃席。海軍飛行隊でも随一のスリルを体験することができる。〉

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〈艇内と後方機銃。一段下がって無線機やちょっとした机も備え付けられている。〉

発動機はわずか1基でそこそこ大きい艇体を持ち上げる。その分、艇に比例してかなり巨大である。
乗員は常に強い振動と騒音に晒されることが特徴である。
的が大きいためよく被弾し停止し、往々にして墜ちるという。

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〈後方から。弱点である発動機周りは堂々と晒され、敵兵にとって格好の的となった。〉


【運用】
「FBS-1戦闘飛行艇ラルス」(ちなみにFBS-1は銀星重工(Silver Star Arsenal)によって作られた制式1番目の飛行艇(Flying Boat)という意味の略である)と名付けられた本艇は、特に南方の諸飛行隊を中心に配備された。
ようやくまともに使える航空機が来たと前線部隊ではそれなりに好評であったという。
桟橋を整えるだけで前線飛行場として機能したからである。
ただし発動機周りの整備は面倒であり、多くの整備兵が天を恨みながら揺れる艇の上で作業したという。

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〈南方の碌な設備がない島々でもラルスなら降り立つことができた。〉

戦闘飛行艇という名前であったが、本機はむしろ偵察・観測や輸送、洋上での救援任務で重宝された。
今まで飛行機が配備できなかった場所でも運用することができたのも相まって、南方の部隊にとって空の目であり続けた。
しかし速度および機動性は普通の陸上航空機と比べると当然低く、まったく太刀打ちできないのは容易に想定できる。
現状南方や西方の島嶼部では平和を享受しているがために活躍できているのであって、戦闘地域に投入されたら一たまりのないことは明らかなのであった。
それでも本艇は今日も緑の島々と碧い海を背景に、民主連邦の国益を守護せんと今日も飛び続けているのである。




【開発後記】
大好きな映画『紅の豚』を観て早速欲望を昇華せんと作った飛行艇です。
水上飛行機と比べて明確な流線形なのが大好きです。あと剥き出しの機銃も推しのポイントです。
結構に気に入っている作品で、よくオフ会に持っていったりしています。






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駄作兵器と失敗兵器と旧兵器が大好きな人。
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