殄Ⅰ型万能双発戦闘機ピルム

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Type Ⅰ Multi Fighter Plane Pilum


【概要】
民主連邦陸軍が保有する双発重戦闘機。意気揚々な国産機である。
空力的に洗練された流線形でスマートな機体が特徴。
主な任務は制空だが、何と一機で制空・爆撃・偵察と様々な任務ができるように設計されている。
戦闘機としても重武装である。とってもお得だ!
もちろんそんな都合のいいことがなく、重篤な問題を抱えながら本機は今日も元気に民主連邦の空を飛び回っている。
ちなみに「殄」は長距離を飛び、敵地を制圧する制空戦闘機につけられる名称である。


【開発経緯】
撃Ⅰ型戦闘機「グラディウス」の運用に成功した民主連邦陸軍。
グラディウスの量産により民主連邦航空技術の基礎は構築されたことは疑いない。
いよいよ満を持して設計から量産まで国産化する時が来たのであった。
グラディウスは優秀な戦闘機であったが、要撃戦闘機的な色彩が強かった。
大馬力エンジンで小柄な機体は敵地に打って出て、敵戦闘機をあらかた落とし、制空権を奪取するような任務には向いていなかった。特に航続距離が足りなかったのである。


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〈撃Ⅰ型戦闘機「グラディウス」。いろいろと小型なため航続距離はなかった。〉


外征を志向した軍隊である民主連邦陸軍兵器局は、それではいかんと長距離戦闘機を国産化することを決定する。
そして遠隔地で重武装を発揮するために、新型戦闘機は双発機とすることにしたのであった。
使用するエンジンは「グラディウス」にも使われた空冷エンジン「シリウスA型」である。

その一方で民主連邦陸軍は貧乏性な軍隊である。
陸軍上層部から「どうせ双発機にするなら多用途に使えるようにしよう」という声が上がった。
事実発動機の出力には余裕があった。
そのため陸軍上層部、前線司令官、機甲部隊、歩兵部隊と様々な将官から出る様々な要求をほぼ際限なく仕様書に盛り込んでしまったのであった。
届かないのは最前線に立たされる将兵の声だけである。

こうしてできた要求仕様書「F1/16」に受注メーカーである銀星重工は目を剥いた。
まとめると「戦闘機・爆撃機・偵察機として満足に使える双発重戦闘機」というものであった。
律儀な銀星重工設計部はすべて実現しようと躍起になって取り組んだ。

遠隔地を駆け、敵航空機を叩き落す双発重戦闘機としては後方に大口径の機関砲を搭載した。
爆撃機としては速度を稼げるように流線型を志向し、複数個所に防御機銃を搭載した。
そして偵察機としては長時間飛べるように胴体下部に大容量燃料タンクを装備した。
設計は要求に沿おうと極めて総花的なものとなったのである。

製作された試作機は流線形を志向したため双発機としてかなり飛行性能が高い機体となった。
特に高速性は申し分なく、単発単座の撃Ⅰ型戦闘機に匹敵するぐらいであった。
問題点は後方の視界確保のため双垂直尾翼式にした結果安定性が不足していたぐらいで、これも垂直尾翼を一枚付け足すことで解決した。

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〈試作翼と武装を公開する銀星重工設計陣の様子。着実にフラグは積み重なる。〉

これはいけるぞと陸軍兵器局は早速銀星重工に量産を命じたのである。
主要任務は制空なため戦闘機という名称だが、場合によっては爆撃も偵察もできることを当然見越してのことであった。
これにより複数機種の航空機をわざわざ配備運用することもなくなり、極めて効率よくかつ経済的に大航空部隊を編成できる。
陸軍上層部はそんな(捕らぬ狸の皮)算用を立てていたのである。

こうして生産し順次配備された殄Ⅰ型双発戦闘機は前線将兵から「何か凄い最新鋭の戦闘機が配備されるらしい」と大変な期待を一身に受けたのであった。
その全金属性の近代的でスマートな姿はその期待に全身で応え、歓喜の声で迎えられた。
しかしその声が絶望と怨嗟の声になるまで時間はかからなかったのである。


【性能諸元】
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【乗員3名 武装:20mm機関砲×1 13mm機関砲×3 100kg航空爆弾/焼夷弾×4】

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二基の「シリウス」空冷発動機。
基本的には撃Ⅰ型戦闘機と同じものだが、双発にするため回転方向の調整など小改造を施したためB型と呼称される。

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偵察機としての運用を見越して広い視界を確保するため、導入した大型キャノピーは特徴的である。
しかし操縦席は機銃席の後ろにあるため絶妙に見えない。
防御用武装として13mm機関砲が最前方に1挺装備されている。

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必殺の後部銃座は20mm長機関砲。
後ろから追ってくる戦闘機を追い払うどころか一撃で屠れることを狙い搭載された。
弾数が一弾倉20発、更に交換も含めて80発しか搭載しておらずいろいろと不安が残る銃座である。

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主翼を展示公開した写真。楕円翼が特徴的である。
翼内機銃は13mmが1挺ずつ搭載されている。
小型爆弾(100kg相当)も合わせて4発載せることができる。

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流線形が美しい本機。
試作型・初期生産型はそれに合わせて引き込み脚だが、後に着陸時やたらと主脚が折れ、以降固定脚になってしまった。
速度はあんまり変わらなかったから気にしないことにしている。


【実戦】
満を持して実戦に投入されたのは民主連邦陸軍の多くの他兵器と同じく華南共和国内の敵対軍閥との争いであった。
ろくな航空戦力を持たない敵勢力に対し爆撃は効果的と考えた軍上層部は、早速本機を爆装させ威風堂々出撃させたのであった。

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〈前線飛行場でグラディウスと共に待機するピルム。中期生産型なので固定脚である〉

結果はあまりにも惨めなものであった。
まず爆弾搭載量が爆撃機としては僅か100kg×4と到底少ない内容であった(ちなみに撃Ⅰ型戦闘機は100kg×2が搭載できた)。
いくら大編隊を組んで爆撃を仕掛けたとしても打撃力が乏しいことが判明したのである。

また戦闘機としても鈍重で、敵の対空砲火をよけつつ爆撃、そして機銃掃射なんてことは不可能なことが明らかとなった。
単葉戦闘機相手だと容易に後ろをとられてしまうことが判明したのである。

そして最も重要な欠陥として偵察任務用に搭載した胴体下部の大容量燃料タンクは被弾すると容易に漏出し、最悪の場合火だるまになるということがわかってしまった。
意気揚々と爆撃に向かったピルムの少なからぬ数が被弾炎上墜落し、僚機が燃え堕ちる様相を見た他の搭乗員の士気は軒並み下がり、乗機拒否が相次いだという。
結局のところ戦闘・爆撃・偵察に使える多用途機なんてものは全て幻想にすぎなかったのだ。
後に残ったのは中途半端で高価な駄作機なのであった。

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問題の胴体下部燃料タンク。
大容量だが対空砲火に当たりやすく、簡単に火が付く。

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〈横から見た本機。後部の長20mm機関砲が目立って印象的である。でも弱い〉

それでもたくさん量産してしまったこともあり、また航続距離だけはそれなりにあるため現在も主要な航空部隊に配備されているという。
将兵からの愛称は「火の鳥」である。


【派生型】
本機は万能どころか無能であったため、泥縄式に派生型が逐次作られることとなった。
つまり爆撃や偵察といった任務に合わせて幾分か改良されることになったのである。
これは紛れもない万能双発機の否定であったが、実情に合わせるため仕方のない措置であった。
ちなみに原型機は制空任務が主であったため、正式名称「殄Ⅰ型ピルム甲」と呼ばれることになる。

〈殄Ⅰ型ピルム乙〉(爆撃型)
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当時陸軍が持っていた双発機がこれだけだったため、ピルムの主任務は制空より爆撃が多かった。
しかし前述したとおり原型機は爆弾搭載量が少ないため、前線から不満が駄々洩れであった。
また後部20mm機関砲は携行弾数が少なく、防御機銃としては失敗であった。
それならそもそも爆撃を主眼に改修すればよい。大体そういう経緯である。

改良した箇所は軽微であり、新規生産分の他、既存の期待も一部乙型に変更された。
翼内機銃はほぼ意味がないということで廃止され、後部機銃も13mm機関砲に付け替えられた。
軽量化した分、胴体下部に100kg爆弾ラックを新設したのである。
それでも元より軽かったため、敏捷性や航続距離も幾分か伸びたのであった。

現在、殄Ⅰ型ピルムの中で最も生産数が多いのは乙型である。
航続距離も長いため、陸軍航空隊によって元気に酷使されている。
前線で積極的に歩兵部隊を支援爆撃し、将兵達からも愛されし兵器である。
なお防御力の弱さは原型機を引き継いでいるため、損耗率がなかなかに高い。

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〈前線基地で駐機するピルム乙型。民主連邦軍の航空機では大型である。〉

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〈被弾炎上する本機。不十分な防弾による脆弱性は相変わらずであった。〉


〈殄Ⅰ型ピルム丙〉(偵察型)
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もう万能機とは何だったのか?という感じだが、追加で偵察専用型も製作された。
原型機は偵察機としては意味もなく重武装すぎた。
戦闘するぐらいなら速度の優位性をもって振り切る方が、偵察機としては遥かに良い。
そこで、高速かつ長時間飛行することができるような改修が施されたのであった。
なお主な改造は銀星重工が受け持ち、一部機械を赤星発動機が担当した。

乙型と比較すると、改造には幾分かの時間と手間がかかった。
最大の変更点は発動機をシリウスB型から、より大馬力のアリエルA型を載せている事である。
そして前部機銃口を塞ぎ、空気抵抗を減らす工夫もなされている。
前部機銃席は偵察員のための席となった。幸い視界は良好だった。

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〈護衛戦闘機と並行して飛行する丙型。大分スリムな外見となった。〉

地上を安定して撮影できるように、機首にはカメラが搭載されている。
カメラは偵察員によって操作することができ、民主連邦にしてはハイテクの塊であった。
情報は高性能無線機により、地上司令部と共有することができる。
更に500kg増槽を吊下することで、長期間の飛行が可能となった。

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〈横から見た丙型。発動機が大きくなり、それに伴いプロペラ位置が幾分か前方に動いている。〉

しかし丙型は貴重な大馬力エンジン「アリエルA型」を二つ使うなど、全体的に見て甲・乙型よりはるかに高価である欠点を有してしまった。
そもそも偵察任務程度なら従来型を流用しても良いのでは?という疑問は常に提起されていた。
そのうえ高価であるならば、生産は限定的になるのは当然の摂理といえよう。
ということで一部の有力航空隊にのみ配備されたのである。

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〈編隊飛行の様子。手前が乙型、奥が丙型である。〉

派生型をまとめたのが、以下の表である。
ピルムグラフ




【開発後記】
器用貧乏な万能双発戦闘機、1930年代中ごろにありそうな感じを狙って作ってみたものです。
特に前面キャノピーがいい感じになりました。なかなかスマートでかっこいい!って感じです。
開発方面の参考はフランス軍のBCR計画辺りを基にしています。
グダグダ感も含めてなかなか好きなお話ですね。
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Author:けーにっひ
駄作兵器と失敗兵器と旧兵器が大好きな人。
ロマン溢れる歪んだ兵器をレゴで作るのが趣味。
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