十四年式牽引自動車カリカ


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14th Year Type Tractor Calica

【概要】
民主連邦陸軍が開発・配備した砲を牽引するための専用車両。
無限軌道を持ち荒れ地でも万全の走りを見せてくれる。
また牽引力も申し分なくカタログデータ上は運用する中で最も重い砲でも運ぶことができる。
故障はそれなりに多いが。

当然戦闘を想定していないため装甲は無いに等しい。
しかし「無限軌道を持つ装甲車」を初めて見た前線の砲兵隊では何を間違えたか最前線に投入し銃砲弾が飛び交う中本車両を爆走させた経緯を持つ。
現在ではそのようなことはない。よかったよかった。


【開発経緯】
砲兵は戦場の女神である。
その言葉を知ってか知らずかは不明だが、民主連邦陸軍は紛れもなく世界有数の大砲を多数運用する軍隊であった。
歩兵砲から加農砲、榴弾砲からロケット砲まで多種多様の砲を保有していた。
(もっともその原因はあまりにも貧弱な歩兵火力や航空火力を補うためであったという観方もできるが。)
前線の求めに応じてより高火力・長射程の大砲を揃えていったのも当然の流れであったのである。

しかし高性能な大砲の不可避な代価として砲重量が加速度的に増していった。
例えば最も重い十二年式榴弾砲は約12tであったが人力での移動は無理であり、軽車両での運搬も不可能であった。
平坦地や舗装道路という条件で初めて四輪自動貨車でギリギリ運搬できたが、凹凸が少しでもあるとエンジンが煙を吹く。
そういう悪条件の場合分解して最寄まで鉄道で運ぶしか選択肢があらず、機動力に大幅な制限が加えられていたのである。

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〈悪路の為スタックした軽装甲車。こうなると面倒なのでよくそのまま放棄される。〉

しかし泥濘地・山地・海岸沿いの砂地など地勢状悪路が多い半島国家民主連邦では予断を許さない状況であった。
兵器局は状況を鑑み無限軌道を持ち悪路も走破できる砲牽引車の製作を決定するのである。
試作を大命を受けた国内兵器メーカー、銀星重工は他国の民生用農業トラクターを模倣して(というかパクって)基礎を整えた。
その試作に満足した陸軍兵器局は申し訳程度の装甲を付け足して再設計、ここに本車両が完成したのである。
前線に配備されるまで構想から僅か半年であったが、前線からの需要が高かったため前倒ししたのであった。
当然様々な運用試験をすっ飛ばした弊害はすぐに前線にて発揮されることになるのである。

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【重量:約3.5t 最大速度:時速20km 乗員:2名】

本車両のコンセプト自体は決して悪くないものであった。むしろ前線の需要をそのまま具現化したものであった。
しかし開発においていろいろ納期がギリギリなまま配備されたものでもあったのである。
どれだけ運用できるかは恐らく設計メーカーや兵器局ですらよくわからなかったであろう。

本車両…正式名称「十四年式牽引自動車カリカ」を一言でいうとやたら故障が多かった。とにかくよく故障した。
その原因はエンジン部分において三面図のみでデッドコピーしたため等言われているが定かではない。
エンジン、サスペンションを中心としてどこかしこでガタが来た。

例えば砲撃演習で重砲を数門展開しようとしたとき、本車両のせいで予定の半分しか展開できなかったという。
ほとんどは道中で故障したものであったが、中には出撃してすぐに営門前で煙を吹き動かなかったという報告もあった。
演習前は入念に調整するのも関わらずこの稼働率である。
平時の稼働率は更に低かったのも頷ける話であった。

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〈エンジン不調で炎上・放棄されたカリカ。暖を取るのにちょうどいいほのかな暖かさ。〉

しかし重量10t以上の砲はほとんどカリカでしか運搬できない以上使うしかなかったのである。
日常茶飯事で起こる故障に対しても次第に現場の兵士たちは慣れていった。
ある者は斜め45°の角度で叩いて直し、ある者はエンジンに水をかけて復活させ、ある者は車体の下で焚火を行い凍ったエンジンを戻した。
「カリカを扱い切れて一人前の整備兵」。こういった言葉が残っているほどである。


【おまけ】
砲兵の機動力を高めるため弾薬運搬車も専用に設計された。
12発の弾を運搬でき、弾薬の種類を問わない隠れた優れものである。
前線にて重宝された。

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弾薬車。腕を痛めなくて済むから便利。

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問題のエンジン。他国のよくわからない民間車からのデッドコピーで空冷式である。

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後部から。調子がいい時は荒れ地もこんな感じで難なく走る。調子が良ければ。

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重砲も牽引できる。頑張ればだけど。

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デクタニア戦役では試作型が地味に投入された。写真は後退する砲撃部隊。




【開発後記】
余りにもかっこよくて一目ぼれした砲牽引車があったため大体似たようなフォルムで作ってみました。
旧軍の五十馬力牽引自動車って奴です。本で見たけどネットでは写真が見当たらないなぁ。
ちなみにモデルにした五十馬力牽引自動車も故障が多かったみたいです。
まぁ自動車の黎明期(20年代)でしたしねぇ。
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