レゴランド内乱記

陸軍と海軍が内戦。

民主連邦が転げ落ちるように没落していきます。

ちなみに作者は架空戦記を読んだことがありません。


序章:一つの国、二つの軍

一章:ダムの亀裂
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一つの国、二つの軍

民主連邦には国軍が二つある。

そう揶揄されるほど民主連邦陸軍と民主連邦海軍は対立していることで有名である。
陸軍と海軍の対立自体はそう珍しくもない現象である。
両軍は別個に兵器を開発し、予算を奪い合い、日々お互いを罵り合った。
諸外国はその様子を笑い、しばしば冗談の種にした。
このままでは内戦が起きるぞ、と。

しかしそれが笑いで済むのは両者が越えられない一線…武力に訴えなかったからである。
民主連邦はその地理からなる中継貿易によって繁栄を享受しており、それが彼等を楽観的にさせた。
「この先も平和が続くだろう」
大部分の民主連邦国民…陸軍兵士も海軍将校も含めてそう確信していたのである。
しかし破綻はすぐ側まで迫っていた。
そして繁栄に酔っていた国民はだれ一人止めようともしなかった。

ここで民主連邦の概要について説明せねばならないだろう。
東南イージアに位置する軍事独裁国家、レゴランド民主主義連邦は本国、北にある傀儡国家の華南共和国、そして太広洋や大南洋、アフィリアに若干の領土を得ていた。
本国自体はちょうど真ん中を通るシロスクル運河によって慣例的に北部と南部に分けられている。
陸軍は大陸中心の備えの為首都プノンペンネを中心に北部に布陣していた。
対して海軍は海港都市タラントを中心に南部に駐屯していた。
外洋に展開しやすかったためである。

地図

これは全くの偶然で会った。
いくら対立しているとはいえ両軍は補完し合う存在であったため、この布陣もやむを得なかった。
しかしこの離れた展開は両軍の意思疎通を困難にした。
この偶然も後に破滅を巻き起こす遠因となる。

閣僚の多くは軍人であり陸海軍によって役職は丁寧に分配されていた。
国家元首は日虎地破綻大統領。海軍畑出身である。
陸軍と関係はなく、有能でもなかった。
彼は祖父から権力を受け継いだ二世大統領であった。
この幸運な素人に陸軍出身の政府高官たちが従うはずもなかった。

彼らは論眼留参謀総長を中心とした陸軍グループを結成し、勝手に予算を獲得していた。
この異常な政体がむしろ常態化していたのである。
海軍側も大統領を中心としたグループを作り軍事予算の切り取りを行っていた。
互いを自制する存在がなかったのだ。

参謀総長
【陸軍省内で撮影された論参謀総長。】

もう一つ注目すべきが文官の存在である。
政府高官の中には極少数ながら陸海軍出身でない人達がいた。
彼らは陸海軍いずれの派閥にも属さず、独自の考えを持って政策を遂行していた。
多くは自分の才能だけで登りつめた叩き上げであったため、有能な官吏である傾向が強かった。
陸海軍出身者の多くは世襲もしくは縁故で出世する場合が多かった。

宣伝
【演説を行う余宣伝相とエムデン補佐官。外交も多くが文官にゆだねられた。】

このグループにカテゴリ化される人物としてはもともと辺境ビールマ州総督であったセサル・ローリズ副大統領や民主連邦きっての秀才と言われたエムデン・チヌール大統領補佐官、華南共和国上杯のセールスマン出身である余是布宣伝大臣などが挙げられる。
そして民主連邦を崩壊に導き、再構築を主導したのは彼等であった。

このように民主連邦には制度的に様々な欠陥があったのだが、経済の繁栄により表面上は覆い隠された。
経済は上向きに発展していたし、所得も高かったため誰も疑う者はいなかった。
数少ない警鐘を鳴らしていた人物としては余是布宣伝大臣がいた。
彼は後に公開された自省録で予算の二重計上を指摘、そしてこう述べている。

当時同一兵器に対し陸海軍がライセンス料を払うことは珍しいことではなかった。
それどころか陸海軍は相互の予算の報告義務を議会に負わなくてもよかったのである。
憲政として異常な状況であった。
改善を求めようと大統領に進言したところ、彼は改善を約束してくれた。
しかし改められる気配はなく、私はその件を脳内から抹消した。


もっとも宣伝大臣には強制力はなく、何ら改められることはなかった。
武器を持たない予言者は事態を動かすことはできなかった。

多くの大戦争と同じようにきっかけは極めて些細なものであった。
11月のある夜、連邦南部の大都市シンガボーロの某酒屋にて陸軍兵士と海軍兵士が酒を飲みつつ談笑していた。
よくある陽気な会話はこれまた酒場でよくある言い争いとなった。
そして暴行事件に発展した。
他愛もない酒乱騒ぎの喧嘩である。
だが自体は異常な方向に走った。
数時間後、シンガボーロの陸軍兵舎に迫撃砲弾が撃ち込まれ始めた。

十四年式突撃砲テストゥード

十四年式突撃砲
14th Year Type Tank Destroyer Testudo


【概要】
民主連邦陸軍が珍しくも独自開発した突撃砲。
八年式主力戦車ホプリタイの車体を改造して製作された。
八年式戦車より打撃力が高い120mm長砲身戦車砲を備え、低いフォルムを持つため避弾にも優れている。
更に装甲防御力もずば抜けて高いなどカタログデータ上は優れた性能を示す。
しかしエンジンは旧戦車と同じ馬力の水冷エンジンの為機動力は絶望的である。
名前の由来は古代ローマの亀甲陣である「テストゥード」から来ている。

ちなみに大人の事情により戦車隊ではなく砲兵隊所属である。


【開発経緯】
八年式戦車ホプリタイ。
それはもはや過去の遺物であり、他国からは「第ゼロ世代」の戦車と呼ばれた。
主砲100mm、シュルツェン、Sマイン付きといえばその旧さはあきらかであろう。
現在のニーズに全く対応できなくなったのである。改良も限界であった。
(そもそもこの戦車は初期型が57mmだったのを度重なる大改造で100mm砲を何とか載せていたのである。)

しかし八年式がようやく主力戦車の座を降り
(残念なことに後継者の十三年式中戦車バリスタは「第-2世代戦車」と言われるぐらい旧いコンセプトで製作された)
新鋭戦車が導入されて後には大量とは言えないまでも相当数の八年式戦車が残った。
すべて廃棄するのはもったいないし、戦力に穴が空いてしまう。
陸軍大臣がそう考えたのも自然であった。

どうにかして高威力の砲を載せる方法はないか。
陸軍内で募集した結果、車体だけ改造した突撃砲にすることが決まったのである。
ちなみにこの提案を出したケーニッヒ少将は商品をしてジュース2本をもらったようである。

製造は銀星重工によってなされた。
完成した突撃砲はデータ上は大変素晴らしいものであった。
3000mの距離ならば仮想されたあらゆる他国戦車の装甲を貫通することができた。
傾斜しているため避弾性能も高く、装甲は最大150mmの厚さを叩きだした。
陸軍省兵器局が喜んで量産命令を出したのも当然である。
しかし量産車が逐次前線に送られると様々な欠陥が表に出るようになった…。

トップ
【武装:122mm長砲身戦車砲*1 7.7mm万能機関銃:1 乗員:2名】

デグタニア戦役投入
〈デクタニア戦役にて投入された本車。人がたくさん載る。〉

まず劣悪な車内環境が挙げられるであろう。
巨大な120mm超砲は車内の大部分のスペースを拘束し、かさばる砲弾は乗員の移動に支障をきたした。
車内のスペース上この突撃砲にはたった二人しか乗れなかったのである。
二人で運転し、哨戒し、無線機を扱い、砲弾を装填し、照準を合わせ発射しなければならない。
機動力が絶望となったのは何もエンジンの非力さだけに起因することではない。

車内
〈異常に狭い車内。装甲は厚めである〉

結果として突撃砲自体は非常に強力なものの、乗員に大変優しくない設計であった。
砲弾の重量により装填手は悲鳴を上げた。
排煙装置もうまく機能せず、数発撃つと車内は煙だらけとなった。
連射速度は絶望的となり、待ち伏せ兵器として使われることとなった。

データ上は申し分のない性能でも実際うまく行くかどうかは分からない。
十四年式突撃砲はその好例であった。

エンジン
〈後部から。エンジンは調子がよくないときは徹底的に止まる。〉




【開発後記】
作ってみた突撃砲。すごいソ連ぽいなぁ。
モデルというか意識したのはSU-152ですかね?
悪役ぽい感じが出せたんで満足です。
旧ソ連の兵器は面構えが凶悪ですよね。
プロフィール

けーにっひ

Author:けーにっひ
駄作兵器と失敗兵器と旧兵器が大好きな人。
ロマン溢れる歪んだ兵器をレゴで作るのが趣味。
コメントいただけると嬉しいです。
どうかよしなに。

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