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十六年式重戦車コローニア

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Type 16th Heavy Tank Colonia


【概要】
民主連邦陸軍が保有する最大最強最高価な重戦車。
巨大な鉄の塊に砲3門、機銃3挺を備え、さながら要塞のように威圧感を与える外見となっている。当然製造費や整備費も高くつくため、数は少なく、また配備先も限られている。
その目立った外見とロマンあふれる容姿から民主連邦陸軍の象徴的な存在である。
しかし多砲塔戦車という宿命、装甲防御力や生存性はさして高い訳ではなく、稼働率も絶望的に低いため、あまり前線に出されず、前線に出されたとしても目立った戦果は残していないのが実情である。この兵器にとって一番ふさわしい戦場は首都のパレードなのだ。

【開発経緯】
近代戦にとって戦車は戦場の切り札となる重要な兵器である。
極めて保守的な民主連邦軍高官達も、先進的な諸外国の軍隊と、それが投入された戦場の事例を鑑みて朧気ながらようやくそれがわかりはじめていた。
民主連邦陸軍の根幹、精神は歩兵にあった。
陸軍は編成に当たって歩兵火力が重視されたし、極論すれば砲兵や爆撃機は歩兵を支援するための補助的存在に過ぎなかった。当然国産戦車を開発するにあたっても、いかに歩兵に追随し、支援するかというのが念頭におかれた。
こうして完成したのが十三年式戦車「バリスタ」(Type 13th Infantry Tank “Balista”)であった。大口径短砲身の主砲、側面機銃スポンソンなど独特な設計が随所にみられるのは歩兵支援を重視した設計に起因するのである。後にその補助として作られた十五年式軽戦車「サギッタ」(Type 15th Tankette “Sagitta”)も13mm機関砲を僅か1門しか装備していなかったことからも対歩兵を主眼として設計されたことが明白であった。

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〈主力戦車「バリスタ」。鉄の棺桶である〉

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〈軽戦車「サギッタ」。鉄の棺桶である〉

こうした歩兵を主眼に置く民主連邦陸軍の戦車は常に対戦車戦で不利を強いられた。
バリスタが放つ低初速の徹甲弾はことごとく敵戦車の装甲によって弾き返され(そもそも製鉄技術が低い民主連邦の徹甲弾はしばしば硬質な物体に当たると砕けた)、逆に敵戦車が放つ砲弾によって民主連邦陸軍の戦車はことごとく撃破された。
それはまるで「豆腐のようであった」と称された(あながち誇張ではなく、サギッタに至っては装甲があまりにも薄すぎて撃たれた弾丸の信管が不発した事例も存在した)。
将兵の不信感はいやまし、兵器局もさすがに対戦車戦でも対応可能な戦車の開発を決意する。

しかしそこから計画は難航する。
対戦車戦のみ想定した小口径長砲身の戦車では歩兵支援が不十分に終わる危険性が高いと一部の軍高官達が反発したのである。
その一方で長砲身戦車でも高性能の榴弾を使用すれば問題ないと別の高官達が反駁する。
兵器局、参謀本部、陸軍省、将官、果ては前線の将兵達まで巻き込んだ議論は収拾がつかず、結局対戦車戦を主眼に置きつつ、歩兵支援も従来の戦車と同様程度の能力を有す重戦車という極めて玉虫色の要望書が完成してしまったのであった。

これに困ったのが要望書を受け取った軍需企業、銀星重工(Silver Star Arsenal)である。
要望計画書の条件は大変厳しく、また大変不透明であったからだ。例えば主砲に関して、要望書では「高初速・貫通力甚大なる長砲身大口径砲を装備すべし。また対歩兵戦に応じて短砲身の歩兵砲を装備すべし」とあり、いろんな意見を盛り込みすぎた結果、何を目標とするのかよくわからないものとなっていた。
更に詳細を詰めようと兵器局側に問いかけたところ、歩兵戦重視派と戦車戦重視派で口角泡を飛ばす議論が未だに行われている始末である。

打つ手に窮した銀星重工は、唯一規約が緩く、「重戦車」とだけ指定がなされていた重量と寸法に光明を見出す。
超大型の重戦車を作り、そこに多様なバリエーションを持つ大砲や機銃を載せればいいのではないか?
つまりは多砲塔戦車である。
もちろん、銀星重工内にも「諸外国の例を鑑みて、多砲塔戦車は実戦において役に立たない」という至極もっともな反対意見は存在した。
しかし状況は予断を許さない状況であり、要望書を忠実に再現するのであれば数種類の砲塔を乗せることはほぼ確定となった今、あまり実戦で使えるとか戦力に耐えうるとかそういう事は後回しにされた。

こうしてある意味振り切った銀星重工開発チームは、順調な開発速度で要望計画書からわずか半年で試作車完成まで漕ぎつけた。
試作車を見ようと集まった民主連邦軍高官たちは、巨大な肢体を持つ多砲塔重戦車にいろんな意味で圧倒されることになった。
「対戦車派」の軍人達も「対歩兵派」の軍人達も「これは実戦には役に立たないな」と皮肉なことに全く同じことを考えたという。
しかし口出しすると自派の不利益となると確信したことから黙っていたのであった。

ともかく大型多砲塔戦車は威容だけはたっぷり存在した。
一目見て直感的に強そうだと判断した参謀総長並びに陸軍大臣が大いに気に入った(彼等はほとんど実戦において直接麾下の部隊を指揮したことがなかった)ことから、なんとこの戦車は正式に量産体制に移行することになる。
いずれにせよ、現場の声が介在する余地なんてなかったのである。

【性能】
その恵まれた巨体からは驚くほどの使えなさを誇る。
重量は80tを超え、無限履帯を持つ戦車なのにもかかわらず、軟弱な地盤では地面に埋まってしまう事例が多々見られた。
当然ながら機動力も低く、基本的には邪魔な民家や塀等を踏みつぶし進みゆく感じの戦車である。
その巨体を動かすために後部スペースを大分開け、特別に製作したV型12気筒水冷ガソリンエンジンを内蔵したが、やはり速度は大変遅く、巡航速度は時速10km程度であった。
もっとも歩兵の進撃に合わせて進撃する戦車であったためその点についてはあまり問題がなかったが…。
燃費も大変悪く中長距離の行軍には常のその後ろに燃料車が付属しないといけなかったし、兵站・補給担当者のストレッサーとなった。

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〈コローニアの側面。こんなものが速く走るはずはないのは火を見るより明らかである〉

武装は超重戦車の面目躍如といったところ、88mm戦車砲1門、75mm歩兵砲2門、12.7mm機銃2門、7.7mm機銃1丁を装備していた。
主砲塔は高い貫徹力を持つ長砲身88mm対戦車砲や、正面被弾形式を考慮した防盾など、対戦車戦において優位を保てる設計がなされている。また精密射撃を可能にするためにペリスコープを搭載し、高性能の無線機を積むために大型の鉢巻アンテナを載せる等、新機軸をたくさん盛り込んでいた。
もっともペリスコープは主砲の振動によりすぐにズレが生じてあんまり使い物にならなかった。
大型の無線機は小隊指揮戦車として重宝されるにふさわしい性能であったが、その分目立った大きいため実戦では集中的に弾が飛んできた。

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〈鉢巻アンテナが目立つ主砲塔。88mm戦車砲は確かに陸軍の戦車では一番貫徹力が大きかった〉


目を引くのは側面に配置されたスポンソンである。
対歩兵を考慮して左右に備え付けされたこのスポンソンには、機動十五年式七糎半野砲の砲部分がそのまま取り付けられている。
歩兵砲をそのまま取り付けたため、射程は短く、軟目標にしか効果がない。本戦車コローニアの重大な欠点の一つがこれである。
超重戦車とあって他の部分はそれなりに装甲厚を持たせた設計となっているのだが、スポンソン部分は装甲が薄く、乗員用のハッチもあることから脆弱だったのである。
しかも都合が悪いことに側面スポンソンの間には主砲塔基部があり、その下が弾薬庫であった。
この設計の拙さは実戦でいかんなく発揮されることになるのであった。

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〈スポンソン部分のアップ。よりによって一番大事な側面にハッチがある憎い設計である〉

乗員は操縦手、機銃手、副砲手2名、主砲手、装填手、無線機手、そして車長の8名である。
少し車体を動かすだけで混乱をきたすこと必至であり、車長は7名の部下を動かしながら、周囲状況を把握するという高いレベルが求められた。
履帯も自重で直ぐに潰れたり、外れたりするので頻繁に修理交換が必要であった。
そのため戦場に本戦車を投入するには入念な準備と根回しが必要であり、あんまり役に立たない兵器のために多くのリソースを投入するという結果に繋がったのである。

【運用】
コローニアは当然ながら調達費が大変高く、量産体制に移ったといってもなかなか予想されていた既定の数に届かなかった。
その調達費は民主連邦陸軍主力戦車である十二年式中戦車バリスタの約3倍にも及んだという。
コローニアは逐次生産され機甲旅団に配備された(余談だが民主連邦陸軍は戦車や装甲車をまとめて旅団化し、歩兵連隊に付属する方式をとっていた)が、首都周辺に展開する部隊を優先・集中的に配備されたという。
首都で定期的に行われる軍事パレードの目玉にとってはこの上なくちょうど良い代物であったのである。
その巨体は首都プノンペンネを貫く大通りを威厳たっぷりでのっそりと走り、見学に来ていた世界中のメディアを驚かせたという(主に否定的に報道されたが)。
なお最初のパレードで大通りの舗装をその重量で思いっきり破壊してしまったことから、次回以降コローニアが走るときは鉄板が敷かれることになったのであった。

実戦に参加したのは多くの新型兵器と同様、民主連邦北部にある傀儡国家、華南共和国内における敵対軍閥との戦闘においてである。
この戦闘において軍閥勢力が繰り出した外国輸入の戦車は民主連邦軍の主力戦車を攻撃防御共に上回る性能であった(そもそも民主連邦軍戦車は対戦車戦をあんまり想定していない造りであった)ため、派遣部隊の損害が増し、苦慮した現地指揮官はコローニアを含む機甲部隊の派遣を要請したのである。
コローニアの88mm対戦車砲ならば対抗できると見越しての要請であった。
こうして民主連邦首都からもっとも前線の駅まで鉄道で密かに(といっても図体が大きいし特注貨車を使用するため沿線住民からはバレバレであった)運ばれたコローニア含む民主連邦陸軍独立機甲旅団は、戦場に送られることになった。
薄々いろんな人々が感じていたように「超重戦車」コローニアは実戦だと絶望的な機動性を発揮した。

そもそも前線に辿り着かないのが問題であった。
最寄りの駅から卸したコローニアのうち、予定された時間内で数十キロ先の前線司令部に到達した車両はわずか20%に過ぎなかった。
多くの車両はエンストしたり、燃料不足に陥ったり、地面に埋まりこんだり、酷い車両だとエンジンが焼き付きそのまま炎上し晴れて全損となった。
コローニアを受け取った前線司令官は頼もしい車両が来たと喜んだが、すぐに物資の消費と兵站計画に頭を悩ませるようになった。

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〈コローニア後部。すごく大きく、すごく燃費が悪いエンジンはすぐに廃品となる。灰色箱は石炭を入れて燃料を温める装置〉

それでも戦地に派遣されたコローニアは勇敢に戦った。
時には燃料が切れ立ち往生し、時には前線の石橋を踏み崩し、そして泥濘にストックし放棄されつつも敵軍閥部隊に対して無視できない戦果を挙げた。
前線司令部の目論見通り88mm対戦車砲の威力は目覚ましく、敵軍のトーチカや戦車を一撃で葬り去った。
歩兵部隊の持つ75mm歩兵砲や、主力戦車の47mm速射砲で絶望的な対戦車戦を繰り広げていた前線将兵からは歓喜の声で迎えられた。

しかしコローニアの運用はやはり相当難しく、全損車両のほとんどは戦闘によるものではなく地形的に動けなくなり放棄されたものである(ちなみに放棄する際は敵に利用されないよう弾薬庫に爆発物を取り付け誘爆させ徹底的に破壊した)。
放棄された車両は重く、回収が困難であることも問題であった。
更に先述した側面スポンソン部分の弱点が敵軍に知れ渡るようになり、スポンソンを突き破った敵弾が弾薬庫に誘爆した結果、砲塔・乗員もろとも天高く吹き飛ぶ事例が散見されるようになった。
かくて大きな犠牲を払いながら超重戦車は奮闘したのである。

以上の結果を鑑みて停戦後ほとんどの車両は首都の機甲部隊に戻されることになったのであった。
やはり多砲塔戦車は軍事パレードでもっとも輝いたのである。


【内部図解】
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巨体を動かす驚異の巨大水冷エンジン。
でもこれでも常に力不足である。

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コローニア内部。8名の乗員とありったけの弾薬を搭載している。
迷路かデパートみたいである。ちなみに砲塔下部弾薬庫が引火すると驚くほど綺麗に爆発するぞ。

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黒い弾頭が88mm主砲のもの。赤い弾頭が75mm副砲のものである。
見た目より車内は遥かに狭く、命は短い。

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スポンソン内部。照準と操作は一人で行う。
乗員は生きた心地がしないという。

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乗員がいなくなった様相の車内後部。一番後ろには自衛用のSMGがかかっている。
しかし乗員8人に対して武器はこれだけなので多分気休めにもならない。

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操縦手・機銃主席。
射角が異常に狭いことが特徴である。




【開発後記】
究極のロマン兵器を目指した重戦車です。とにかくカッコよさを優先!論理性は後!という感じです。
鉢巻型アンテナとか88mm戦車砲とか要素要素に管理人のロマンを入れています。
概念のモデルはインディージョーンズに出てきた重戦車。英軍マークⅠに砲塔を付けた変な形が特徴ですね。
私が最高に気に入っている作品の一つです。内部までちゃんと作れてよかったなぁ














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No title

こんにちは!
久しぶりにケーニッヒさんの超重量級の駄兵器記事を見ることが出来て幸せです!
随所にネタを放り込みつつかつ全体として均整の取れた記事はいつ見ても惚れ惚れします。
やはり作品に対しての愛があればこその記事だと感じさせられました。
これからも是非愛すべき駄兵器を作り続けてください!

同盟国の同じ戦車兵としてこの戦車はとても頼りになりそうです! きっとこの戦車が居れば敵の戦車は恐れて戦場から逃げ出す事間違いなしです! 
プロフィール

けーにっひ

Author:けーにっひ
駄作兵器と失敗兵器と旧兵器が大好きな人。
ロマン溢れるいろいろと歪んだ兵器をレゴで作るのが趣味。

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